玉城知事、改めて国に「対話」求める 辺野古代執行訴訟が即日結審
- 2023/10/30
- 政治・社会
米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐる工法変更について、知事に代わり国が承認する「代執行」を念頭に政府が提起した訴訟は30日、第1回口頭弁論が福岡高等裁判所那覇支部で行われた。同日で即日結審し、判決の期日は後日、決まることとなった。玉城知事が出廷して意見を述べた県側は、国の請求を退けるよう求めたほか、「国との対話の必要性」を訴えた。
工法変更は、辺野古地区で大浦湾側の海底に軟弱地盤が見つかり、大規模な地盤改良工事を行う必要があるため、沖縄防衛局が申請したもの。
県が2021年11月に不承認の判断を下した一方で、政府は県の不承認処分を取り消す「裁決」や、工法変更を承認するよう「是正指示」を発出。その後の法廷闘争では、今年9月までに県の敗訴が最高裁で確定している。
同日の口頭弁論で、国側は最高裁で県敗訴が確定しているにも関わらず、県が工法変更を承認しないため、代執行を行わざるを得ないと主張した。
一方、玉城知事は「県の自主性と自立性を侵害することとなる国の代執行は、到底容認できない」とした上で▽国と県の対話の必要性▽「辺野古が唯一」との考えは必要性、合理性がない▽沖縄県民の民意こそが「公益」として認められなければならないーと述べた。
記者会見では「妥協点」問う質問も
玉城知事は、口頭弁論後に県庁で会見し「裁判所には、国が代執行という国家権力で、公益としての民意を踏みにじることを容認しないよう、双方の対話により辺野古新基地建設問題の解決の道を探ることこそが最善の方法であることを、県民の多くの民意に即した判断として示していただけると期待を申し上げた」と述べた。
会見では、記者団から「故大田昌秀知事の時は、国と県の歩み寄る形もあった。今回、何らかの妥協点はあるのか」との質問も出た。
これに対し、玉城知事は「大田知事の時は対話する中から、県が求める条件に対し、政府がアメリカに協議をするという約束をし、SACO合意の進展につながっった経緯がある。何か対案を用意しなければ、対話にならないというようなことではないと思う」と述べた。
別の質問には、「私はいつでも対話に応じる。本当に複雑な協議が必要になると思うので、県三役や弁護士の先生方とも相談をしながら分析を進めていかなければ、対話により解決へ向かっていくかどうかということが、たぐれない」とも強調した。
裁判所前では、知事の支持者らが集会
同日、裁判所の前では玉城知事の支持者らが集会を開催し、出廷前の玉城知事も参加した。集会では、「デニー知事、頑張れ」「(基地は)沖縄から出て行け」などの声が挙がった。
(記事・写真 宮古毎日新聞)