沖縄県の玉城デニー知事は27日、県庁で記者団に対し、米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐる設計変更申請を承認するよう国が求めていた勧告について、「期限までに回答することは困難」との判断を示した。
移設先となっている辺野古地区の大浦湾側では軟弱地盤が見つかっており、沖縄防衛局は2020年4月に工事方法の変更を申請したが、県は21年11月に同申請を不承認とした。これに対し、斉藤鉄夫国土交通相は22年4月、県の不承認処分を取り消す裁決を下し、申請を承認するよう「是正指示」も出した。
県は、同裁決や是正指示を違法として訴訟で争ったが、今月までに最高裁で敗訴が確定している。これを受け、政府は27日を期限として工事の変更を承認するよう求める勧告を行っていた。
同日付で県が発出した政府に対する回答文書では「最高裁判決の内容を精査した上で検討する必要があり、また、県民や行政法学者などからさまざまな意見が寄せられている。県政の安定的な運営を図る上で、これら意見の分析を行う必要があることから、期限までに承認を行うことは困難」としている。
今後、国は「勧告」を「指示」に切り替えて、改めて県に承認を求めるとみられる。県が従わない場合は工事が可能となる「代執行」も見据えた訴訟を提起する可能性もある。