「沖縄振興に力尽くす」 自見担当相、玉城知事と会談
- 2023/9/29
- 政治・社会
第2次岸田再改造内閣で就任した、自見英子沖縄担当相は28日、県庁を訪れ、玉城デニー知事らと会談を行った。自見担当相は「与えられた担務である沖縄振興に力を尽くしたい」と決意を述べた。会談の冒頭、玉城知事は「就任後、早いタイミングで沖縄にお越しいただき、心から歓迎する」と謝意を表した。国に対する要望書も提出した。
玉城知事は自見担当相に対し、県の施策について「エネルギーや物価の高騰対策も含め、企業などの『稼ぐ力』を向上させ、支援を必要としている方々にも目配りしながら、社会全体で好循環をつくろうと取り組んでいる」と説明した。
一方、沖縄の課題として▽県民所得の低さ▽ヤングケアラー▽子どもの貧困―などを挙げ、「社会的背景が徐々に顕在化している状況だ」と述べた。
特に、米軍基地問題については「国土全体の面積の0.6%しかない沖縄に70.3%の米軍施設専用面積がある。日常的な騒音被害、PFOSなどによる水質汚染など、米軍基地に関する問題がずっと続いている」と強調した。
自見担当相は「沖縄は米軍基地が多く集中しており、大きな負担となっていることから、引き続き軽減することが重要な課題だ。私は振興策の担当大臣として、基地の跡地利用の促進を始め、沖縄振興にまい進していく」と述べた。
会談ではこのほか、照屋義実副知事が安保3文書について触れ、「静かで平和な環境だった八重山、宮古、与那国周辺が慌ただしい急展開で日米一体となった自衛隊の装備が進んでおり、大きな危惧を持っている。県民の安全な環境の維持を含め静穏な状況を実現できるようご配慮いただきたい」と要望した。
加えて、玉城知事が「離島を抱える県で、陸路が繋がっていないという不利性が非常に強い。沖縄の地場産業をもっと育て、自立的な経済を目指していきたい。そのために今、立ち後れ気味になっている基盤整備にもお力添えを」と重ねて述べた。
自見担当相は「私も離島に対しては強い想いを持っているので、ぜひ離島振興のため必要な対応についても取り組んで行きたい」と応じた。
自見担当相、県内経済団体代表と懇談会
自民担当相は同日、県内経済団体代表との懇談会も行った。経済団体からは、県商工会議所連合会の石嶺伝一郎会長や県経営者協会の金城克也会長ら11人が参加した。石嶺会長は「幅広い見識と行動力をお持ちの自見氏が、沖縄担当大臣に就任したことで、経済界は本当に心強い限りだ」と歓迎した。懇談会は、冒頭のみ公開された。
自見担当相は冒頭、「ようやくコロナが5類になり、観光産業をはじめとした産業振興がいよいよ力を入れていくタイミング。きょうは皆様からの忌憚(きたん)のない意見を伺い、しっかり対応していきたいと思う」とあいさつした。
石嶺会長は、県経済の現状として「観光客の大幅な回復で、企業の売り上げは増えてきた。一方、あらゆる商品での物価高と人手不足の影響で、中小小規模事業者は、厳しい経営環境下に置かれている」と説明した。県の社会的問題としては県民所得の低さや子供の貧困などを挙げ、「解決には息の長い取り組みが必要」と述べた。
その上で、「これからの沖縄の諸課題の解決、強い沖縄経済の実現に向け、ぜひともお力添えを」と求めた。
懇談会は約1時間にわたり行われた。石嶺会長は、懇談会後に報道陣の取材に応じ、各団体から▽人手・担い手不足への対応に向けた要望▽揮発油税に関する石油製品を沖縄本島から離島に運ぶ輸送補助事業▽離島を含め県全体の老朽化した製糖工場、中央卸売市場への支援―などの話が出たことを明かした。自見担当相は、「承りました」と答えたという。
また、石嶺会長は「(自見担当相の)義理の父親が初代沖縄開発担当の橋本龍太郎先生(元総理)などとの発言があった。沖縄に対する思い入れを感じた」と述べた。