沖縄は「理論の強化」必要 復帰51年インタビュー 稲嶺恵一元知事

 
インタビューに答える稲嶺恵一元知事=4月27日、浦添市

 5月15 日で、沖縄は本土復帰51年となった。宮古毎日新聞では、1998年から2期8年にわたり県知事を務めた稲嶺恵一氏に、沖縄を取り巻く国際情勢の変化や、本土と沖縄との関係、玉城デニー知事が推し進める地域外交への認識、今後の沖縄への思いなどを聞いた。

ー沖縄を取り巻く国際情勢について

 世界が激動しているという認識をしっかり持つことが大事だ。

 中国では1992年に領海法が定められ、尖閣諸島や南沙諸島、西沙諸島が中国領と法律的に定められた。西沙諸島は全部を、南沙諸島は一部を中国が抑えた。尖閣諸島は、中国が抑えている所は一つもないが、これは(中国と対峙(たいじ)している国が持っている)武力の差ということになる。

ー日本政府と沖縄の関係について

 (以前は)本土の有力政治家の多くは戦争体験があったり、肌で感じるような何らかの経験をしたりして、沖縄に対する「心」を持っていた。個人的なつながりもあった。

 今は、時代が経過して(そういった政治家の多くが亡くなり)、そういうものがなくなった。(時代の経過を)けしからんと言うことはできない。

 これまで沖縄はどちらかというと「情」を中心に訴えてきたが、これからは状況の変化に対応するため、「理」の部分を強化する必要がある。

ー玉城知事が推進している地域外交

 大賛成だ。1972年の日中国交正常化も、普段、中国と付き合っている人たちがいたからこそできた。沖縄は、琉球王国の時代に、対中国との付き合いで特殊な歴史がある。そこをうまく利用すれば良い。

 ただ、中国の態度も以前に比べて高圧的になっている。非常に難しい面もあるが、隣国とけんかをすることはできない。仲良くするべきだ。

 これは、国益にもつながると思う。そこは、(安全保障とは)割り切った形で行った方がいい。

ー今後の沖縄に望む形は

 1995年の(米兵による)少女暴行事件を受けた県民大会では、沖縄が一本化した。(政府にも)そのように受け止められ、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)や、沖縄政策協議会ができた。

 同協議会は、各大臣と沖縄で構成して沖縄が一国扱いとなるため、多くのことを決めることができる。現状は、同協議会が開かれなくなっていることに問題があると思う。

 本当の意味で県民が一つにまとまれば、大きな力を発揮する。オール・オア・ナッシングではなく、ベターな選択肢で一歩でも前進することが重要だ。

(記事・写真 宮古毎日新聞)


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