5年ぶりの“沖縄ダービー”はFC琉球に軍配 サッカー天皇杯予選決勝

 

無失点勝利に収穫 FC琉球

ヘディングでクリアするFC琉球の上原牧人

 琉球はリーグ戦で2連敗中。いずれもディフェンスラインの間のスペースに縦パスを通されたり、球際の寄せが甘かったりして2失点、3失点と守備が課題となっている中、この試合は無失点で勝ち切った。

 試合前からシュートを打たれる際の体の寄せなどを徹底することを選手たちに強く伝えていたという倉貫一毅監督は「もう一つ体を寄せたり、もう一つボールを奪ったりというところはもっと求めたいというのが正直あります」とした一方で、「体を張るという部分ができたから相手がシュートをふかす場面もありました。そこは収穫、自信になる。失点をゼロに抑えられたことは次につながると思います」と手応えを語った。

 琉球は今月、J3でアウェー2連戦が控える。注目の沖縄ダービーでの白星に「みんな少しほっとしてるんじゃないかと思います」と振り返った野田主将は、今後に向けて「一つ一つのプレーの強度だったり、質の部分で相手をもっと上回らないといけない。それは毎日の練習でしか培っていけないので、練習で100%を出し、その成果を試合で100%出す。それしかないと思います」と引き締まった表情で語った。

攻撃の手応え増す 沖縄SV

クロスを上げる沖縄SVの髙原直泰(右)

 一方のSVも現在JFLで1勝5敗となっており、15チーム中14位と厳しい戦いが続いている。琉球と同じく、ボールを保持している選手への体の寄せの速さなど守備が課題となっている。

 この日もゴール前での競り合いや走り込んだ選手に合わせられての失点となり、髙原直泰選手兼監督は「失点の仕方が今の課題になっている中で、今日も簡単に点を許してしまいました。崩されたというよりも、1対1でやられてしまっているので、やっぱりそこがチームの課題です」と指摘した。

 一方で、リーグ戦でも徐々に形になってきていた積極的なサイドアタックや、ディフェンスラインの裏へのパスが攻撃にリズムを生む時間帯もあり、「ポジティブな面も継続して出てきているので、何が良くて、何が悪かったかをしっかりチームで共有して、また次のゲームにつなげたいです」と続けた。

素早い動きで左サイドを突破する沖縄SVの伊集院雷(右)

 攻撃を引っ張った伊集院も「佐田や富久田はボールをキープして時間をつくってくれるので、前線は動きやすいです。背後へのボールも増えてきて、いい感じです」と連係が向上してきているとの感触を示した。

 SVは天皇杯本戦への出場権を惜しくも逃したが、14日にはJFLのアウェー戦が控える。明確になってきた課題と強みを整理し、チーム力を底上げしてシーズン2勝目をつかみたい。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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