菅政権は沖縄とどう向き合うのか カギは河野太郎沖縄担当相か

 


 とはいえ、辺野古移設では政府と沖縄県との対立は解消されず、工事と法廷闘争が今も並行して続く。一方で、菅氏はこの間に自身が肝いりで取り組んだ「目に見える成果」として、2021年度までの沖縄振興予算3000億円台確保や那覇空港第2滑走路建設の前倒し、米軍北部訓練場約4000ヘクタールの返還などを挙げてきた。こうした菅氏主導の沖縄政策は、総裁選期間中のマスコミ報道で「アメとムチ」と評された。

那覇空港第二滑走路 沖縄ニュースネット
那覇空港第二滑走路。写真は建設中のもの

河野太郎沖縄・北方相の衝撃


 菅首相は総裁選から安倍政権の路線継承を掲げ、安全保障政策も日米同盟を軸とする方針の下、辺野古移設などの懸案はこれまで同様に日米合意に沿って進む見通しだ。菅内閣で茂木敏充外相が再任され、防衛相には安倍前首相の実弟にあたる岸信夫氏が就任したことからも、その姿勢がうかがえる。

首相官邸公式Facebookページより


 翻って、菅政権と沖縄の今後を占う上でポイントになりそうなのが、次代の首相候補と目される河野太郎氏の沖縄・北方担当相への起用だ。新たな菅内閣で行政改革、規制改革の担当相とともに、沖縄・北方担当相を兼務する。


 河野氏は2017年8月の内閣改造で外相に抜擢され、19年9月からは防衛相に就任。安倍政権の重要ポストを経験し、辺野古移設を含め外交や防衛の分野で沖縄に関わってきた。その河野氏が、菅内閣では沖縄振興を所管するポストに就く。


 「河野氏は義理人情が通じない、徹底した合理主義者。菅首相の沖縄への厳しいメッセージだろう」。沖縄の自民党関係者は戦々恐々と構えるようにこう受け止める。どういうことか。


 河野氏は政策通として知られるが、自民党内にあっても政府与党の方針に異議を唱え、官僚らをストレートに批判することから「異端児」とみなされてきた。閣僚就任後はそうした姿勢を封印しているが、「無駄撲滅」にこだわる合理主義者としての側面は健在。今年6月、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備について、コストと時間がかかることを理由に計画停止を決断したのも、防衛相の河野氏だった。

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