【沖縄県知事選】「1期4年間の県政に審判」玉城デニー氏インタビュー

 

コロナ対策について

 県庁にコロナ対策本部を設置しているほか、重点機関病院の先生方が24時間365日輪番制で入院調整を行っていただいています。独自のシステムを作り、各病院のベッドの空き状況などが一目で分かる調整機能を図ることもできました。

 PCRの受検者数は日に2万6000件まで広げることができ、10万人当たりの受検者数は全国で4番目に高いです。空港における水際対策では、PCR検査と抗原検査キットを併用して、検査の迅速化も図りながら、陽性者の必要な医療へのつなぎを図ることができました。

 もう1点、病院の皆さんからも好評だったのが、一時待機ステーションです。特に、夜間の救急要請、急患要請の時に、病院にベッドの空きがない場合には、たらい回しをせずにステーションで待機をしていただき、必要な方々には医療行為を行えるようなりました。

県と国の関係性について

 基地問題を挟んで、県と政府があたかもずっと対立の状態にあるというような構造で描かれがちなんですが、私は正直申し上げて、県と国の関係はそんなに多くの問題はないと思うんです。

 振興計画であれば、新沖縄21世紀ビジョン基本計画も、政府の振興方針の内容と特に変更はないということで一致しましたし、振興予算が今回も要求予算により額が少し抑えられましたが、選挙が終わって私が2期目の当選を果たせば、政府に対して必要な額として要望していくこともできます。

 逆に、新型コロナ対策については、沖縄が離島型の感染症対策を進めていきたいということを積極的に政府や担当大臣にアピールすることにより、例えばワクチンの配布・配分や、出発地空港におけるPCR検査の無料化などを、どんどん提言していくことで、政府でも取り組んでいただくことが、結果的には沖縄以外の国民の方々の暮らしや利益を尊重することにもなります。

 沖縄が自立的な発展を目指して取り組んでいくんだということと、その自立的発展が日本国内の経済を牽引する形でやっていただきたいという方向性は、国家戦略としてこれまでも一緒でしたので、その方向は全く問題ないだろうと思います。

米軍基地問題は大きな問題

 一方で、やはり非常に大きな問題だと捉えているのは、米軍基地問題です。県民の平和に対する理想や願いというものが、政府の取り込む姿勢から、なかなか見えてこない。それよりも沖縄県民からは批判の論調の方が非常に強いということは、残念ではありますけども、県民の思いとしては至極当然だというように思います。

 なぜなら返還が合意した普天間の合意から26年経って、基地の全体的な負担の割合を減らしてくれという我々の要求に対して、政府は本当に必要な部分を必要なタイミングで返還できているかというと、できていないわけですよね。

 政府とアメリカとの協議で、政府が沖縄県民や国民の真摯な要求に基づいた協議をしているのかということが、全く見えないということ、地位協定の問題にしても、抜本的にどこが問題でどう見直すのかという提案を日本政府がアメリカに持ちかけたことは、ほとんどないわけです。

 翁長知事の県知事選挙、2018年の私の選挙における争点は普天間の閉鎖返還、辺野古移設反対でした。翁長知事も私も、多くの県民の信をちょうだいしたと思っています。2019年2月の県民投票では、投票率52%で、それを100と見立てた場合、反対と答えた方々が72%に上ります。相当の民意が、移設はまかりのならんと、埋め立てはやるなと示されています。

 アメリカ議会でも、軟弱地盤の問題、浅い部分と深い部分の埋め立て工事によって作られる基地が同じように沈下せず、沈下の違いが起こることによる基地のメンテナンスにかかる費用の問題などが、取り上げられるようになってきました。

 アメリカ側も、こんな何年もかかるような、しかも不具合が生じるような基地はいらないのではないかということが、そういう考え方が正当な論調になりつつあるということが、議会事務局の調査報告書を読んでも、傾向がはっきりと出てきていると思います。

(記事・写真 宮古毎日新聞)

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