迷走する沖縄県のコロナ対策 玉城知事の求心力にも陰りか

 
沖縄県庁


 トップのリーダーシップは、困難が立ちはだかる局面でこそ問われる。新型コロナウイルスの流行が続き、緊急事態宣言が8月22日まで延長となった沖縄。宣言を解除して「まん延防止等重点措置」へ移行するシナリオを描いていた玉城デニー知事にとっては、政府の決定に肩透かしを食った格好で、県の事前の根回しや調整不足を露呈した。
 沖縄経済への一層の打撃は不可避で、特に本格シーズンを迎える観光産業からは悲鳴が上がる。玉城知事はこの未曾有の危機的事態を乗り越えることができるのか。

まん延防止を前提に準備 裏目に


 沖縄県の感染状況をおさらいする。
 県内では春先から再び流行が広がり、4月中旬から一部地域に「まん延防止等重点措置」が適用されたが、大型連休中に県外からの観光客が増えたことや、県民の行動の「緩み」もあって感染は拡大。政府は5月23日から緊急事態宣言の対象地域に沖縄を加えた。5月29日には県内で過去最多となる335人の感染者数を記録している。

 6月に入ると次第に感染拡大の波は落ち着いたものの、人口比で見た感染者数は7月3日まで47都道府県で全国ワーストの状態が続いた。さらに、インドで見つかった「デルタ株」の感染割合も沖縄県内で少しずつ上昇している。この間、6月20日までとされた緊急事態宣言の期間が7月11日まで3週間延長となり、12日以降に関する政府と県の対応が焦点になっていた。

 7月5日以降の動向を時系列に整理すると以下のようになる。

5日 沖縄県の専門家会議が「まん延防止等重点措置に移行すべき」との見解で一致
6日 県と県内経済界の会合で、まん延防止への移行を前提に酒類提供の扱いを議論
7日 県が政府にまん延防止への移行を要請 →夜になり、政府が「沖縄の宣言延長の方針」とのマスコミ報道が相次ぐ
8日 政府が沖縄の宣言延長を決定

 まん延防止への移行を念頭に感染対策を検討してきた沖縄県の対応は、見事に裏目に出てしまったのである。

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