沖縄の有効求人倍率1.01倍 2年3カ月ぶり1倍超

 
2022年7月の「労働市場の動き」について説明する沖縄労働局の西川昌登局長=30日、県庁

 沖縄労働局(西川昌登局長)は30日、2022年7月の県内有効求人倍率(季節調整値)が前月比0.02ポイント上昇の1.01倍だったと発表した。県内の有効求人倍率が1倍を超えるのは、20年4月(1.03倍)以来、2年3カ月ぶり。新規求人倍率(同)は前月比0.04ポイント低下の1.79倍、正社員有効求人倍率(原数値)は前年同月比0.07ポイント上昇の0.57倍だった。

 県庁で会見した西川局長は、7月の県内労働市場の動向について、「観光客の回復などにより、雇用情勢の改善傾向は続いている」との見解を示した。

 その上で、雇用情勢の判断を「求職の超過が続いており、厳しい状況にあるが、求人は改善傾向がみられる」などとの表現から「求人が求職を上回り、改善の動きが続いているが、新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に注意する必要がある」に上方修正した。

 また、産業・業種を問わず、人手不足感がさらに高まってきていると指摘し、一部の事業者で人手が足りず飲食店が営業時間を短縮したり、宿泊施設で稼働を抑えたりするなど、事業活動の制限を余儀なくされている状況があることも明らかにした。

 西川局長は有効求人倍率が2年3カ月ぶりに1倍を超えたことについて、「コロナ禍の中で、事業主の皆さんが完全に収束をしない中でも、感染対策や従業員の確保も含め、さまざまな経営努力をされてきた結果だと考えている」との認識を示した。

 一方、コロナ前の水準と比較して、県全体で医療や介護関係の求人が増えていることにも触れ、「新型コロナの影響で増加した医療や福祉関係の求人動向を注視しないといけない」と強調した。 

 今後については、「感染症の流動的な状況と物価高の影響が、改善を続けている雇用情勢に、今後どのような影響を与えていくかについて注視していく必要がある」と述べた。

 同日の会見では、10日に沖縄地方最低賃金審議会から県の最低賃金を時給853円(33円引き上げ)に改定するとの答申を受けたことについて、個人的な意見としながらも「人材不足が逼迫(ひっぱく)する中では、賃金の設定如何によっては人材確保競争がもう始まっている。(賃金の高い)内地で就職することになると、県内の産業育成が進まない」と述べた。

 また、中小企業・小規模事業者の生産性向上のための設備投資などへの取り組みを支援する業務改善助成金について、周知徹底して活用件数を上げる必要性を強調した。

(記事・写真 宮古毎日新聞)


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