沖縄県知事選まで1カ月 コロナ禍の県政運営の評価、「保守分裂」の影響は…

 

辺野古移設問題 主張に違い

埋め立て工事が進む沖縄県名護市辺野古の沿岸

 選挙戦においては、コロナ禍で打撃を受けた経済の再興や辺野古移設の是非、子どもの貧困解消に向けた政策などが主な争点になる。3氏は出馬表明や政策発表の会見などで主張を訴えているが、中でも最大争点の一つとなる辺野古移設を巡っては違いが明確だ。

 玉城氏は6月に行った出馬表明で、移設について「断固認められません。世界一危険と言われる普天間基地は、県外、国外への早期移転を求め、閉鎖、返還を政府に求めてまいります」と反対姿勢を強調した。コロナの濃厚接触者となって参加はできなかったが、8月7日に那覇市内で行われた共産党街頭演説会に寄せたメッセージでは「激しい戦争を経験した沖縄だからこそ、平和こそ暮らしの原点という思いを担っていかなければならない」と決意を述べた。

 8月9日に政策発表を行った佐喜眞氏は「原点は1日も早い普天間の返還です。今進められている辺野古の工事については、現実的に認めざるを得ないと思います」と容認姿勢を示した。さらに日米政府との協力体制を強化していくことで、返還時期を「2030年までに実現する」と明言。返還後の跡地利用についても触れ、「国家戦略として行い、沖縄の発展が日本全体の経済向上につなげていけるよう取り組んでいきたい」と未来を展望した。

 米国ホワイトハウス前で出馬を表明し、基地問題について米国との協議にも力を入れることをアピールした下地氏は、7月26日にオンラインで政策発表を実施。普天間飛行場で行われている訓練を自衛隊基地整備計画がある鹿児島県の西之表市・黒毛島に移転する案を示し、「これ以上、辺野古の軟弱地盤を埋め立てる必要もなくなる」と主張した。普天間飛行場の跡地については「安全保障上の意味も持つ」として軍民共用化を掲げた。

参院選候補と連動 市町村議員ともセット戦へ

 1カ月前の7月10日には、知事選と同じ全県選挙の参議院選挙が行われた。結果は「オール沖縄」勢力が推す伊波洋一氏(70)が274,235票を獲得し、271,347票を得た自民新人の古謝玄太氏(38)を僅差で退け、2期目当選を果たした。

 知事選はそれからわずか2カ月後の短期決戦となるため、オール沖縄、自民とも参院選で使用した事務所をそのまま転用するなど、体制構築を急ぐ。参院選の時から玉城氏は伊波氏と、佐喜眞氏は古謝氏と並んで演説する場面が多く、今も出馬表明や政策発表の会見に同席するなどして票の引き継ぎを図っている。

 また、9月11日は宜野湾市、本部町、大宜味村、伊是名村で首長選が行われる。普天間飛行場を抱える宜野湾市の候補者の出馬表明では、現職の松川正則氏(68)の会見に佐喜真氏、新人の仲西春雅氏(61)の会見に玉城氏が出席した。両氏とも市長選の事務所を知事選の拠点としても活用し、セット戦術を展開する。

 当日には24市町村で議員選挙も行われ、各市町村議員も自身の選挙活動に多くの時間を割くことになる。下地氏も含め、協力関係のある議員といかに連動して知事選のアピールをするかも、集票の鍵を握りそうだ。

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