キングス「第2章」へ 新社長の白木氏「世界に羽ばたくチームに」

 

沖縄に根を張った企業として

2021-22シーズンのキングスメンバー=沖縄アリーナ

ーそこから、御社が具体的に経営を引き継ぐことになったきっかけは何だったのでしょうか。

 「細かいプロセスは話せませんが、おそらく我々以外の会社も検討はされていたとは思います。その中で、できる限りチームと相性がいい会社がやるべきということと、沖縄という場所に根を張ってビジネスをしている会社であってほしいというニュアンスの話はしていただいていました。ですので、私たちも何回も社内を見てもらったりしながら、その方針に合致しますということはずっと伝えていました」

ー事業を承継するためには、お互いの社風が合っているかというのはとても大事な要素ですよね。

 「そこを間違えてしまうと、一番苦しむのは木村さんと一緒にやってきたメンバーです。僕も7月から一緒に働くようになって、彼らにとって確実にプラスにならないとまずいなと強く感じています。キングスのメンバーは少人数によるコンパクトなユニットで、すごく機動力が高くて、常に走っている。そのチームと相性がいい動きができるかどうかというのが、継承先を決める上での一つのポイントだったのかもしれませんね」

 「キングスの社員は、とにかく優秀だと毎日のように感じます。これは間違いない。例えば営業に行くと、訪問先から『いつも応援しています』と逆にエールをいただきます。こちらから訪問しているにも関わらず、様々な想いをいただく会社が何社もあります。お客さんが、球団に対して誇りや愛を持ってくれている。キングスの社員が積み上げてきたものをとても感じます」

ーこれだけ地域に根付いた球団を運営していくプレッシャーはありますか。

 「むしろワクワクやドキドキの方が大きいです。キングスの社員ともっと色々話したくて仕方ないんですよ。一つのコンテンツを進めていくのにどう考えているのかとか。彼らと相談しながら、刺激をもらって進めていきたいです。本当に楽しみです」

沖縄アリーナを満員に EASLにも注力

OUT NUMBERの湧川太陽編集長(左)からの質問に答える白木社長

ープラスアルファで積み上げていきたいことは何でしょうか。

 「沖縄アリーナで初めて試合を観戦した時は、まず鳥肌が立ちました。どこからでも気持ち良く観戦ができ、東京ディズニーランドのように細部まで気を配って設計されている。すごく感動しました。まず私たちの軸になるのは、このアリーナを常に満員にすることです。勝った負けたも重要ですが、お客様が『今日も楽しかったね』『また来よう』と言って帰ってもらえる環境づくりを一層強化していきたいです」

ー具体的な取り組みについては。

 「今季は東アジアスーパーリーグ(EASL)があり、来年にはFIBAワールドカップが沖縄アリーナで開催されます。『すごいぜ、日本のバスケは』ということを伝える最大のチャンスです。これができるのは、今、日本の中で琉球ゴールデンキングスしかないと思っています。Bリーグが2026年からの新たな将来構想を掲げている中で、これからの3年間は自分の身を削ってでも頑張らないといけない。せっかくプロトソリューションと一緒にやっていこうということになったので、『チーム沖縄』という意識で組織のレベルを上げていきたいです」

ーアジアからの集客についてはどのように考えていますか。

 「アジア客を取り込むきっかけがEASLだと思っています。台湾は高校や大学のバスケがすごく人気で、会場に何万人も入る文化です。公式戦だけでなく、オフシーズンの練習試合も含めて向こうのチームに来てもらうことも一つの方法じゃないかと。マーケティングをしっかりやれば、絶対にアジアからもお客さんが来てくれるという自信があります。スポーツは国境を超えていくので、世界に羽ばたいていきたい。Bリーグの中でも、キングスは世界への扉を開いていくチームであるべきという思いです」

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