繭はなぜ星形? 沖縄こどもの国などで新種ハチ発見 「ホシガタハラボソコマユバチ」

 

「吊り下げ型」と「集合型」で捕食回避か

ホシガタハラボソコマユバチの星形繭。拡大して見ると、糸が細かく絡み合ってこの形を成していることが分かる(沖縄市立郷土博物館提供)

 なぜホシガタハラボソコマユバチはこのような繭を作るのか。コマユバチの他の種類では、単独で繭を作るものや集団で作るもの、葉に固定するもの、吊り下げるものなど様々なタイプがあるという。

 「寄主を抜け出してから成虫になるまでを過ごす繭の期間が、一番外敵に襲われる可能性が高い。そこをいかにやり過ごすかというところで、繭の作り方が多様化していると見られています」と刀禰さん。「吊り下げ型」と「集合型」を組み合わせたホシガタハラボソコマユバチの繭について「吊り下げではないタイプに比べ、他の昆虫などに捕食されにくく、集合して固めることで露出面積を小さくする効果もあると考えられています」と説明する。

 発展的な繭の形をしている一方で、天敵がいないという訳ではないようだ。

 採取したいくつかの繭からほとんどの成虫が羽化した後、一部羽化しない繭が残り、そこから別のハチが出てきたことがあるという。これは高次寄生蜂と言われ、寄生性の生き物にさらに寄生するハチの事を言う。これまでに既に3種が確認されている。

身近な自然を楽しんで

沖縄市立郷土博物館周辺で見つかったホウジャク類の幼虫

 ホシガタハラボソコマユバチの寄主であるホウジャク類の幼虫の好物はヘクソカズラという植物だが、街中によく生えている雑草だ。事実、「外に行けばたくさんありますよ」と言う刀禰さんに着いて行くと、ヘクソカズラは沖縄市立郷土博物館周辺の所々に生えていて、枝葉にくっ付いているホウジャク類の幼虫もすぐに見付かった。

 新種発見の発表後、報道を見た那覇市在住の人からも「庭に同じ繭があったよ!」と連絡があったという。新種とはいえ、ホシガタハラボソコマユバチはそれだけ身近にいる可能性の高いハチと言える。

 刀禰さんは「豊かな自然のある南西諸島の沖縄では、こういうことは当たり前。少しクローズアップして解像度を上げて見れば、まだまだこのような発見が眠っています。ぜひ身近な自然に目を向け、楽しんでほしいです」と勧めた。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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