沖縄で木造住宅は無理? ”神話”も今や昔 2年前に戸建てでRC逆転
- 2022/4/18
- 経済
県外メーカーが相次ぎ参入
普及のきっかけとなったのは県外ハウスメーカーの参入だ。前出の県内メーカー関係者は「最近5、6年くらいで大手企業の支店が一気に増えた」と話す。
沖縄は全国的にも数少ない人口増加地域であり、市場の潜在力に対する評価は高い。8年ほど前に沖縄に営業所を構えた県外メーカーの沖縄担当者は「人口が増えている場所は全国でも限られていて、同じ場所で営業をしていても需要は減っていく一方。沖縄は『リゾート地』から『居住先』に変わってきていて、需要は高い」と説明する。
豊富な資金力で一ヶ所のエリアに複数の分譲住宅を販売し、着工数を押し上げている。本島南部の八重瀬町や中部のうるま市などでも物件が目立ち、販売エリアは県庁所在地の那覇市から南北に向かって徐々に広がりを見せる。
割安感が魅力 耐久性も向上
消費者を引き付ける最大の要因は割安感だ。県内で木材の運搬を担う流通会社の代表は「RCに比べ、木造は坪単価でゆうに10万円以上は安い。木材も高騰してるけど、RCも高騰していて価格差はほとんど変わらない」と人気の理由を分析する。
近年は現場施工前に工場などで木材を切断、加工する「プレカット工法」の技術が発達し、コスト低下や工期短縮が進む。7年前には県内初のプレカット工場がうるま市で稼働した。「沖縄で木造が増えた要因は県内での工場設置が大きい。県外で加工し、それから沖縄に送る輸送費が抑えられるようになった」と指摘する関係者もいる。
材料や土地の値上がりで相対的な販売価格は上がっているが、今でも土地付きで3〜4千万円ほどで購入できる木造住宅は多い。
シロアリ被害についても木材への薬剤散布やシロアリが嫌う乾燥を床下で保つ構造など、各社競うように対策技術を打ち出しており、日々進化している。数十年単位の長期保証があるハウスメーカーも多い。構造や金物による接合技術など、台風に対する耐性も向上している。