必要性増す沖縄北部の救急救助ヘリ メッシュが今月から活動再開

 

脳神経外科医の不在 増える中南部搬送

 北部地域で救急救助ヘリの必要性がさらに増している要因の一つが、脳神経外科を専門とする医師の不在だ。以前は県立北部病院(名護市)に脳神経外科があったが、現在は休診している。

 塚本理事長が現状をこう話す。「血管が破裂してしまった時とか、1分1秒を争う病気を北部地域で対応しきれない状況ができてしまっている。医師不足で医療体制が弱くなり、中南部の病院に搬送しないといけないケースがこの1年ですごい増えた」

県立北部病院

 これまで北部の病院で対応できていた患者を、より医療環境の充実した中部徳洲会(北中城村)や南部医療センター(南風原町)、那覇空港近くの友愛医療センター(豊見城市)などに搬送することが増えているというが、陸路ではいずれも1時間以上かかる。しかし、ヘリなら約50キロの直線距離がある名護から那覇空港まででも約17分で到着する。

 塚本理事長は「島しょ県の沖縄はもともと離島の医療ニーズがあり、さらに地域医療の体制が弱くなっているので、救急救助ヘリの効力が大きくなっている」と使命感をのぞかせる。

観光客増加で捜索案件も

 昨年、世界自然遺産登録が決まった北部地域。さらに名護市と今帰仁村ではテーマパーク事業も計画されている。新型コロナウイルス禍が収束すれば、以前より観光客が増える可能性は高い。

 住民も含めた滞在人口の増加を想定して、北部地域救急・救助ヘリ運航事業にはヘリによる上空からの行方不明者の捜索も含まれており、これまでにも既に出動実績がある。

 事務組合の担当者は「ヘリなら山林、海上を上空から捜索できる。安心、安全な観光のためにも事業の重要性が出ている」と話す。

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