沖縄にも広がる車いす歓迎店舗の「心のバリアフリーステッカー」

 

県内第一号は沖縄市のシアタードーナツ

オーナーの宮島さん(写真右から2番目)

 沖縄市の通称コザにあるシアタードーナツは、完全バリアフリーではないものの、心のバリアフリーで対応できるお店として、オーナーの宮島真一さんは「誰とでもフラットな関係でいたい。人として当たり前にお手伝いします」と快く引き受けた。

 シアタードーナツの入り口には上り段差があり、手伝いが必要だ。車いすの三代さんの入店時、いつもは片方しか開けていない扉を、宮島さんはすぐ両開きにして「どう手伝ったらいい?」と聞いて、心のバリアフリーを自然な形で実践していた。

 扉を抜けてすぐの下り段差は、DIYで木材を活用して解消している。入店してしまえば店内はほとんどバリアフリーで、トイレに向かう通路に以前あった段差は改修し、スロープになっている。

 1階と2階にあるシアタールームは数年前までは2階にしかなく、車いすユーザーが来店した時は、地域の人達に協力依頼して、みんなで担いで上っていた。より安全に利用して欲しいという思いから、1階のシアタールームを増設したという。
 様々な種類の椅子やソファーは、敢えてランダムに配置し自由に動かせるようにすることで車いすのためのスペースを確保。好きな椅子に乗り移って鑑賞することもできる。

 三代さんは「通常の映画館だともちろん椅子は動かせないし、車いすだと最前列に連れて行かれて首が痛くなるし、どうにか一般の席を利用したとしても人が前を行き来する時に簡単によけることができず気まずい思いをする」と話す。そのニーズにしっかりと応えることができた。

ステッカーの要らない社会を目指して

 先月始動したばかりのプロジェクトだが、すでにみちるさんのもとには「うちにも貼らせてください」「寄付など何かしらの形で応援させてください」といったメッセージが増えてきている。

 「バリアはあるけどお手伝いするので是非利用してもらいたい」と思っているお店も実は多いという。「お互いが歩み寄ろうとしているのにすれ違うなんて非常にもったいない。少しでも外に出る楽しさを感じられて、社会とつながるきっかけになれば」とみちるさんは強調する。

 車いすユーザーに限らず、お手伝いが必要な人は多種多様だ。みちるさんは「杖をついた方、高齢者、視覚や聴覚障がいの方の他、見た目では分からない障がいを持った人々がいる」と話し「その人に必要なお店の環境やお手伝いはさまざまなので、双方でコミュニケーションをとって一緒にサポートのあり方を考えていく姿勢が大事」と呼びかける。

 いずれは、社会から「ステッカーもう要らないよ」というくらい、障がいを持った方々が住みやすい社会として、心のバリアフリーが当たり前のことに浸透してほしいと呼びかけを続ける。

 心のバリアフリーステッカープロジェクトでは、ステッカー表示を通して、環境的バリアを人的サポートにより解消しようとする沖縄県内のお店や施設、共に呼びかけを行うメンバーを募集している。

<心のバリアフリーステッカープロジェクト>
代表者:島袋みちる
連絡先:michi.selfish@gmail.com
ブログ:https://ameblo.jp/sorosorokaeru/

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