コロナ禍の海外研修の形 進化の鍵は少人数議論と伴走支援

 

議論の積み重ねで英語で発言する力を習得

 参加生徒を選考する面接時には用意してきた原稿通りのコミュニケーションしかできなかった生徒も、オーストラリアの高校生や専門家に果敢に英語で質問をする勇気と発言力を身につけた。研修内容を立案したコーディネーターの神部愛さん(おきなわ教育ラボ取締役)は「グループで課題に取り組んだり、議論をしたことで取り組みの質が深まった」と話す。

 5日の最終発表会ではオーストラリアの野生生物保護や環境問題への取り組みを受けて、沖縄の課題解決につなげるための提案を発表。山内凛さん(具志川高校2年)は「どうしたらオーストラリアの人のように日常生活から自然や野生動物に対する意識をつけることができるか」と問題意識を持った。解決策として動物園のあり方に着目。動物の生態について説明するなど来園者と動物園側のコミュニケーションなどを増やすことなどを提案した。

コミュニケーション活性化の秘訣はツールの活用と話題選び

 「グローバル・リーダー育成海外短期研修事業」で実業高校生向けに行われた別の研修も、1月の全日程がオンラインに変更。国際交流事業を手掛ける「HelloWorld」(野中光代表)の企画のもと、高校生が英語やSDGsについて知見を深める研修を行った。海外の家庭と繋いだオンラインの料理教室、LINEを使ったテキストでの交流と語学学習、将来の目標を英語で考えて発表する最終プレゼンテーションなどだ。

 生徒たちは「英語を話すのは苦手で自信がなかったが、(自動翻訳ソフトの)DeepLを活用し、笑顔などで気持ちや感情を共有できたのが良かった」「研修で英語を話そうとする力がついた。チームの活動で楽しく笑い合える仲間もできた」と充実感を語った。

 運営したHelloWorldの在住外国人対応スタッフで元高校教師のタムリンソン・マリサさんは「生徒たちも外国に興味津々で、やっぱり学校の教科書や日本人教師からは得られない生きた情報にモチベーションが上がっていた。逆にこちらも生徒から沖縄のことを教えてもらって会話が盛り上がった」と振り返る。

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