コロナ禍の海外研修の形 進化の鍵は少人数議論と伴走支援

 

 「動物愛を持とう」「自ら動いて創る自分たちの街」。県内の高校生17人がグループに分かれて次々に発表する。そのテーマは「SDGsの達成目標を新たに考案するとしたら?」だ。3月5日に行われた沖縄県教育委員会の高校生向け海外研修事業の最終発表会。発表は全てZoomの画面の先の生徒の自宅で行われた。コロナ禍になり丸2年が過ぎた今、未だ制限される海外渡航など若者にとっては機会損失が続くが、オンラインを通じて新たな“海外研修”の形が模索されている。生の体験に代わり、どんな工夫がされているのか。

グローバル・リーダー育成海外短期研修事業

 発表会は「グローバル・リーダー育成海外短期研修事業 海外サイエンス体験短期研修」の一環で行われた。この事業は沖縄県がグローバルな視点で世界で活躍できる人材を育成しようと科学や観光、文化振興などさまざまな分野を対象に、その先進事例の各国の同世代と議論や交流を行っている。

豪州と結んで環境問題テーマに

 海外サイエンス体験短期研修は3年前まではオーストラリアに渡航し、野生生物の保護や環境問題について実地で学んでいた。しかし、新型コロナウイルスの影響により昨年度は事業が中止。今年度は対面での研修も予定されていたが、結局全7回の研修がオンラインでの実施となった。

 研修は全て英語で行われた。生徒たちは、オーストラリアで野生生物保護に取り組む獣医師の講座や、現地の企業で働く人の話を聞いたほか、高校生や大学生とディスカッションを行った。オーストラリアの考え方や取り組みを知り、沖縄や日本の方策を省みることで、自然環境や動物保護についての知識を深めた。考える力を育み、発言することで大幅に成長した。

 研修後に参加生徒らは「物事に対する捉え方や積極的になる方法を学べて、より意欲的に何事にもチャレンジできるようになった」「授業などでは学べないような生態系の現状やグローバル人材に必要なスキルなどをたくさん学べた」と報告していた。

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