【視点】ウクライナ侵略で学ぶべき3つの視点

 
ロシアによる軍事侵攻で負傷した兵士を見舞うウクライナのゼレンスキー大統領 ウクライナ大統領府HPより

 ロシアによるウクライナ侵略は、国際社会の冷酷な側面を全世界に見せつけている。もちろん、そんな国際社会の冷酷さは、相次ぐ紛争やテロなどをみれば分かりきったことだが、それでもロシアのウクライナ侵略は私たちに大きな衝撃を与えた。このロシアの蛮行から、私たちは3つの視点を学ぶべきだ。

ロシアの考える「平和」や「公正」は容認できない

 あらためて指摘するまでもないが、ロシアはG20参加国だ。G20は世界的に重要な経済・金融問題を協議する国際会議で、場合によればG7よりも注目を集めるが、ロシアはそのメンバー国だ。もっともロシアは以前G8参加国だったが、2014年にウクライナ領土のクリミアを併合したことで追放されたし、今回の侵攻でG20からも追放されるべきだろう。

 いずれにしても、そのような、世界でも主要な国が武力を用い、一方的に他国を違法に侵略したことは、前時代的な帝国主義、覇権主義が国際社会の中で脈々と息づいていることを見せつけた。

 自由や民主主義という価値観は、私たちの社会では普遍的価値観であると信ずるものだが、現実社会では多様な価値観が存在している。専制主義もあれば宗教の違いもある。異なる民族の軋轢はさまざまな地域で紛争という形に変わる。

 日本国憲法は前文で「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と平和主義を貫くという理念、決意を謳っている。

 これは憲法の理念としては意義深いものだ。日本人が心に留め置かなければならないものだが、しかし、現実社会は違う。仮に「諸国民」が「平和を愛する」ものだとしても、その「平和」は私たちと同じとは限らないばかりか、さらにそれが「国民」ではなく「国家」という形になったとたん、私たちの「平和」や「公正」「信義」とは全く異なることも想像できる。ロシアには、ロシアの考える「平和」や「公正」が存在するのだろうが、それは私たちの社会では決して容認できないものだ。

 ロシアのウクライナ侵略は、国際社会には多様な価値観があり、それに対して宥和的な姿勢で臨めば、今回のような危機を招くということをあらためて認識する必要がある。憲法の平和主義は理念としては誇るべきものだが、それが現実社会では通用しないということもまた事実なのだ。

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