国内経済、沖縄県経済は新型コロナウイルス感染症、ロシアによるウクライナ侵略という2つの重い課題を背負って、足取りも重い。原油や資材価格のさらなる高騰も懸念されている。政府は4月末をめどに対策をまとめる方針で、困窮者対策などを含め国民生活の安定を図る。
新型コロナをめぐっては、3月21日に18都道府県で実施されていた「まん延防止等重点措置」が解除され、経済活動の正常化への舵が切られた。水際対策も今後、感染状況をにらみながら、さらに段階的に緩和される見込みだ。
政府月例経済報告「一部に弱さがみられる」
こうした中で政府の3月の月例経済報告では、景気の基調判断を「景気は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられる」と前月の判断を据え置いている。
また先行きについては「ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある」などとの警戒感を示している。
このように景気に弱さや下振れリスクがある中で、国民生活に追い打ちをかける恐れがあるのが4月からの制度変更などだ。公的年金の支給額が前年度比0.4%引き下げられたほか、雇用保険は企業負担分が賃金総額の0.6%から0.65%に引き上げられた。
また、原油や各資源の国際価格の高騰などで、障害保険料、味噌、焼酎、カップ麺などさまざまな商品・サービスの値上げが行われたり、予定されたりしている。
観光頼みの成長とならざるを得ない
では沖縄県経済はどうか。りゅうぎん総合研究所が先ごろ公表した2022年度見通しは「2022 年度の本県の実質経済成長率は+2.6%程度となり、21 年度(+2.3%程度)を上回る見通し」としている。政府経済見通しが実質で+2.6%程度だから、ほぼ全国なみの水準といえる。
ただ、りゅうぎん総研は「民間消費支出が物価の上昇などから伸びが鈍化し、政府消費支出は新型コロナ対策関連の支出が鈍化し、実質値では減少する見通し。民間住宅投資や民間設備投資は資材価格の高騰などから弱含みとなり、公共投資は予算の削減から減少する見通し。一方、観光収入は入域観光客数の回復で2桁の増加となる見通し」などとしている。個人消費の伸びが鈍化し、公的支出、公的投資も減少するなど、いわば観光頼みの成長とならざるを得ないのが実態だ。