新型コロナは全国的に落ち着きを見せ始めたが、3月末から再び増加する兆候も出ている。これを乗り切れないと、再び全国で増加し、沖縄県の入域観光客数が期待通り伸びなければ、見通し通りの成長ができない可能性もあるだろう。

いずれにしても、この厳しい経済環境の中で国民生活の安定を図ることが求められるわけだが、政府は4月末をめどに「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」を策定する。具体的には、①原油高へ対応 ②エネルギー、原材料の安定供給に向けた調達先の多様化 ③賃上げの実現と中小企業へ支援 ④コロナ禍で困窮する人への支援強化-の4点が柱となり、これに加え公共事業の前倒し執行による経済の下支えも行うという。
今回策定する経済対策は、そもそも原油や原材料の高騰による物価高の悪影響を抑制するために策定される。そのために、4つの柱の中でも「原油高への対応」を第1番目に位置づけ「あらゆる選択肢を排除することなく検討する」方針としている。
トリガー条項の解除も検討か
ガソリンがさらに高騰すれば家計だけでなく、さまざま経済活動に悪影響が出るためで、その対策としてガソリン税(揮発油税)を引き下げるトリガー条項の解除も検討することになるだろう。
トリガー条項が発動されると、ガソリンリットル当たりの税金が、約54円から約29円に引き下げられることになる。
現在、沖縄県だけが沖縄振興特別措置法によって他の都道府県よりも1リットル当たり7円引き下げられているが、それでも今後の対策によっては県内経済に好影響を与えるだろう。
このほか経済対策では、中小企業が高騰する物価に対して円滑に価格転嫁できるよう、資金繰り支援をしたり、困窮者の生活を守るためのセーフティーネットを強化したりすることなども検討される。政府は2022年度予算で5兆5000億円の予備費を計上しており、対策の実行を迅速にできるようこの予備費を活用する方針だ。
ウクライナ情勢などまったく予見が困難な事態にでも対応できることは、政府が新型コロナで学んだ教訓を生かしたと言えるだろう。
全国から沖縄を訪れる環境を
とはいっても、沖縄県経済の活性化のために必要なのは、こうした経済対策はもちろんだが、全国の人々が沖縄を訪れる環境を一刻も早く作ることがさらに重要だ。政府は4月1日から、県民割事業への支援について、対象範囲を地域ブロックまで拡大した。今後はGo Toトラベルの再開が焦点となるが、再起するためには新型コロナの感染状況が落ち着いていることが不可欠となる。
これについてもやはり予見が難しい部分があるが、ワクチン接種や治療薬の流通などで状況がより好転することが期待されているし、政府は、昨年策定した「全体像」に基づき、医療体制の維持、強化を図っている。
そういう意味では、経済活動の正常化へ舵を切った政府のコロナ対策は、沖縄県にとって歓迎すべき状況だ。あとは一刻も早くGo Toトラベルが再開できる環境を作ることだ。