「自らの防衛のために自助努力を行なう」という、平時でも緊急時でもあまりにも当然のことなのだが、その当然のことを忘れてはならない。また、米国の防衛能力向上について応分の協力をするという点も重要だ。
ロシアのウクライナ侵攻を契機に、平和を維持するために日本はどのような努力をしているかが問われている。ゼレンスキー大統領は「われわれの土地を守るために戦い続ける」いう悲痛な訴えをしたが、自らの国をどう守るのか、米国にどう協力するのか、日本はそこが問われているのだ。
日本周辺でも覇権主義的な動きが
そして、最後の学ぶべき点は、日本周辺でもロシアのような前時代的な帝国主義、覇権主義的な行動が行われている可能性があり、また実際にも行われていると言う点だ。
言うまでもなくそれは中国で、日本の領土である尖閣諸島には中国の公船が侵入する事態が相次いでいることはいうまでもない。
中国をめぐってはそもそも南シナ海の南沙諸島で一方的に人工島を建設し軍事拠点化を進めているし、台湾海峡の緊張も高まっている。
日本、米国、インド、豪州4カ国(クワッド)の首脳は3日のテレビ会議で、今回のような力による一方的な現状変更をインド太平洋地域においても許してはならないことや、そのために「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取り組みが重要であるとの認識で一致している。
ウクライナで起こった事態がアジア地域で起こらないとは限らない。日本は〝平和ボケ〟が許されるほどの平和が続いている国だが、平和は天から与えられるものではない。平和を維持するために、私たちは何をすべきなのか、ロシアのウクライナ侵略はそれを問いかけている。