【視点】ウクライナ侵略で学ぶべき3つの視点

 

平和を維持するために問われる日本の努力

 さて、次に考えなければならないのは「国際連携」や「国際協調」の重要性と言うことだ。

 今回の侵攻にG7など西側諸国を始め各国は歩調を合わせてロシアに対する経済制裁を実施した。各国は自国経済への影響も避けられない中で、歩調を合わせて金融上や貿易上の制裁を行っている。

 また米国を始め一部の国は、ウクライナへの武器の供与なども行っているが、中でも、スウェーデンは80年以上行っていなかった紛争当事国への武器供与、フィンランドも、戦後の中立政策を転換となる武器供与など、それぞれ大きな政策変更を行いながらの実施となった。

 日本は〝国内事情〟で武器の供与はできないものの、防弾チョッキ、ヘルメット、防寒服、天幕、カメラ、衛生資材、非常用糧食、発電機といったいずれも非殺傷の物資を支援した。

 こうした動きは、苦境に直面したウクライナの国民、政府を支援することで、国際法にも反する侵略を容認しないという国際社会の意思の発露というものだろうが、このような国際社会の意思を引き出した大きな要因は、ウクライナ政府、国民の抵抗だ。

 ウクライナの政権や国民が「国を守る」という強い意思を示し、ロシアに対する激しい抵抗を続けていることが、国際的な支援を生み出したことは否定できない。国民の生命を守ることはもちろん重要だが、それと同時に祖国を守ることも重要だ。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は3月8日、英国議会でオンライン形式の演説を行い、「海で空で、われわれは最後まで戦う。いかなる犠牲を払おうとも、われわれの土地を守るために戦い続ける」と述べ、満場の拍手を受けた。

 仮にウクライナ政府が、ロシアの侵攻開始直後に〝降伏〟し、国や国民、土地を放棄していたら、国際的な連携はここまで進まなかっただろう。自国を守ろうとしない政府や国民に援助する他国はないのだ。

東欧3ヵ国の首相と会談するウクライナのゼレンスキー大統領 ウクライナ大統領府HPより

 日本は米国との日米安保条約で国家の安全保障を担保しているが、同条約の3条は「締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる」と規定している。

 これは、日本から見た場合、米国の対日防衛義務に対応して、日本も憲法の範囲内で自らの防衛能力の整備に努めるとともに、米国の防衛能力の向上について応分の協力をするとの原則を定めたものとされている。

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