【検証・玉城県政③】新たな社会資本整備は足踏み状態

 
沖縄県庁

 9月11日に投開票日を迎える沖縄県知事選挙。4年間におよぶ玉城デニー知事の県政運営が県民によって評価される。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題がクローズアップされることが多いが、コロナウィルスの新規感染者率が数か月にわたって全国ワーストとなり、インバウンドはゼロ、国内観光客も極端に減少する中、観光産業を中心に経済は疲弊している。

 経済の復興と振興は県政の最重要課題であると言える。そのためには、短期、中期、長期の対策が必要となるが、中長期対策では経済や産業の基盤となる社会資本整備が成否のカギを担うこととなる。玉城県政について多角的に検証するシリーズの第3回目は、社会資本整備に光を当てる。

振興予算3000億円台維持の約束

 沖縄の社会資本整備は、沖縄振興計画に基づき実施され、その財源は主に国、県、市町村事業に充てられる沖縄振興予算である。2013年に仲井眞弘多元知事(当時)は、安倍晋三首相(同)と第5次沖縄振興計画(2012年度~2021年度)中は、3000億円台の振興予算を維持することを約束した。

 その後の選挙で仲井眞氏が敗れ、以降約8年間、翁長雄志氏と玉城デニー氏といった「オール沖縄」の知事が続くなかで普天間飛行場の辺野古移設問題をめぐり国との対立が深まるが、その間も国は律儀にも約束を守り、3000億円台の予算を措置し続けた。

 しかし、2022年度予算からはこの約束も期限を迎えることから、これまで以上に強力な折衝により予算を確保する必要があったが、玉城知事の折衝は不発に終わった。

 結局、前年度より300億円以上減額された2684億円が予算措置されることとなり、県と市町村の事業に多大な影響を及ぼすこととなった。県内11市の中で、10市の普通建設事業費が対前年度マイナスとなるなど、社会資本整備の遅滞を招くことになった。

鉄軌道の事業化は夢のまた夢か

 戦前の沖縄には、那覇市から嘉手納町、与那原町、糸満市の3方向へ延びる沖縄県軽便鉄道があり、県民からはケービンと呼ばれて親しまれていたが、先の大戦で破壊された。南北を大量高速交通で結ぶことができれば、沖縄の産業構造のみならず、県民生活にも計り知れないメリットがあるものと期待されている。

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