【検証・玉城県政③】新たな社会資本整備は足踏み状態

 

 この鉄軌道を復活させるべく、県では平成22年度に先ず米軍基地の返還跡地を一気通貫で連絡する鉄軌道の調査を始めた。以来、10年以上が経過しており、現在も調査を続けているにもかかわらず、鉄軌道の事業化について目処を付けることができていない。

沖縄鉄軌道 沖縄ニュースネット
2012年度「鉄軌道を含む新たな公共交通システム導入促進検討業務」報告書より郊外部イメージ

 鉄軌道の実現には多額の事業費と制度改正などが必要となるため、国の全面的な協力が必要となる。毎年、国と県が何故か別々に可能性調査を行っており、事業化に結び付けることができていない。鉄軌道の調査においても、国と県の信頼関係の欠如が垣間見えるが、県主導で国と協力して可能性調査を一本化し、事業化へ向けての道筋をつける必要がある。

 鉄軌道は県民の夢であり、ゆめゆめ「夢のまた夢」にしてはならない。

大型マイス施設の建設失敗

 国内外の旺盛なMICE需要に対応し観光産業の振興を図るため、2016年に県は、一括交付金の活用を前提として、展示場面積3万㎡以上の規模で公募し、翌年、事業者を決定した。だが、その後、内閣府との調整に失敗し、一括交付金の活用が不可能となり、事業者に対して9100万円余の和解金を支払うに至った。

 大型マイス施設の整備は500億円以上の財源を必要とするビッグプロジェクトであり、知事自らが一括交付金の活用と所要額の確保に向けて積極的に行動する必要があることは行政の常識である。

 さらに、事業者からも知事が直接大型マイス施設整備について内閣府へ直談判の要請をするように申し入れがあったが、結局実現しなかった。県当局の見込みの甘さと知事の国との調整能力の欠如により、事業はいったん頓挫した。

 現在、展示場面積1万㎡に極端に縮小し、PFI事業により民間資金をあてにした計画としているが、もともと経済界が望んだ規模には全く達していない。規模を増加させたうえで、再度一括交付金の活用を国との強力な交渉により獲得すべきである。

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