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沖縄と情報教育(下)未来は産業界と教育界の協働にあり
- 2022/2/24
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沖縄県の先進事例も全国に紹介
情報教育は今や、小・中・高すべてのカリキュラムに組み込まれていて、それぞれの内容がうまく連動して一体的に知識や思考力などを身につけていくことが重要だとされています。小学校で学ぶプログラミングでは、第一にICTを使った活動を楽しく体験しながら、意図した処理を行わせるために必要な操作を論理的に考える力を培います。例えば、簡単なゲームを作ったり、複数の楽器音を重ねてリズムを奏でたり、あるいは身の回りの自然や地域のお店を調べてデジタル図鑑を作成したり。
様々な取組が全国で展開されていて、文部科学省が公表する先進事例の中には、沖縄県内の素晴らしい取組も紹介されています。例えばスキルチェックシートで子供のやる気を引き出す手法や、高校生が先生となることで学びの循環を生み出す事例などがそうです。
小学校で楽しく体験した後、中学校では「技術・家庭科」の中で、更に一歩踏み込んでデジタル化やサイバーセキュリティ、情報モラルといった項目を社会の身近な例とともに学び、高校へとつながっていくのです。
沖縄のIT人材育成と情報教育
このように全国で情報教育が着実に推進されていく中、沖縄での取り組みはどのような状況にあるでしょうか。もちろん県内各学校でも、学習指導要領に則り確実に進展しているところですが、見逃せないのが、情報産業の振興という流れの中で、県独自にIT人材の育成に取り組んできた経緯です。「おきなわ Smart hub 構想」(2012~2022年の10年計画)の推進や「沖縄ITイノベーション戦略センター」の設立(2018年)といった施策を進める流れの中で、人材育成として「未来のIT人材創造事業」などが展開されてきました。市町村や民間でもこうした取組に努力が払われてきました。
しかし、産業振興としての「IT人材育成」は、学校で展開される「情報教育」と効果的に結びつくことはあまりなかったと言えるのではないかと思います。つまり、IT人材を育成したい産業界の思いは、情報教育を推し進める教育界の思いと大いに重なるにもかかわらず、両者が互いに強みを生かす協働的な取り組みが、これまであまり目立ってこなかったのではないでしょうか。
更なる進化のカギは、産業界と教育界の協働
より体験的で、現実社会と結びついた実践的な活動を展開するには、教育界が、これまでの産業振興の取り組みにも目を向け、学校外のリソースを積極活用することが効果的です。
始まったばかりの情報教育は、これから産業界と連携していくことで更なる進化が期待できます。IT人材の育成という産業界における沖縄独自の取り組みと結びつくことで、どこにも真似できない、情報教育の新たな未来が創造できるのではないでしょうか。ポテンシャルを秘める沖縄が、情報教育の先進地となることを願ってやみません。