日本最南端の市長選・石垣市長選告示 自衛隊配備や市政評価争点

 

 任期満了に伴う2月27日投開票の石垣市長選が20日に告示された。立候補したのは届け出順に、市政野党や市民団体が支援する前市議の砥板芳行氏(52)と、現職で4期目を目指す中山義隆氏(54)=自民、公明推薦=の2人。陸上自衛隊の配備の是非、そして現市政の継続か刷新かが大きな争点となる。20日朝には、曇り空で北風が吹く中、砥板陣営が出発式を、中山陣営が出陣式を、それぞれの事務所前で行った。

自衛隊配備に対する姿勢の違い

 平得大俣地区への陸上自衛隊配備を巡る住民投票について、砥板氏は「実施して結果を尊重する。市民合意のない配備強化・施設建設には反対としている一方、中山氏は「提案しない。国防や安全保障について地方自治体の住民投票で問うのはふさわしくない」との立場を表明している。

 その他、ゴルフ場付きリゾート開発については、砥板氏は「市独自の審査会を設置する」として環境保全の図りたい考えであるのに対し、中山氏は「自然環境に配慮した建設でオフシーズンの集客アップ」として推進の立場だ。

砥板氏「市民による市民のための市政を」

 砥板氏は保守革新4団体の擁立を受け、各個人団体との政策協定を締結しており、石垣市長選としては初の保革相乗りの候補となる。革新層と一部の保守の票を取り込む構えだ。「オール沖縄勢力」の玉城デニー県知事も18日の定例会見で、砥板氏について「柔軟で我々の政策に近い。十分支援に値する」との認識を示している。

 市真栄里にある砥板陣営の選対事務所前では、赤いはちまきを巻いた支持者らが集結した。事務所周辺に掲げられたのぼりには「住民投票実施」「多選禁止」とのメッセージが掲げられていた。

 砥板氏は開口一番「一部の経済界や組織の声しか聞かない、市民不在の独善的な市政を終わらせ、『市民の市民による市民のための市政』を作るのかが問われる選挙です」と強調し、中山市政を批判。「このような独善的な市政が続いてしまったら石垣島は壊れてしまう。長期の市政運営が続く危険性をずっと述べてきた」として刷新を訴えた。砥板氏は公約の中で、市長の任期を2期8年に限定することや、任期中の資産情報公開を盛り込んでいる。

「これからの市民が作る石垣市をイメージしましょう」と呼び掛け、支持者と共に「今こそチェンジ市政」と4回繰り返し、選挙戦に突入した。

中山氏「コロナに強い街づくりで経済、生活を戻す」

 中山陣営は3期12年で積み重ねた実績と行動力の証左として、新空港開港やクルーズ船バースの完成を機に観光客数や観光消費額数を約2倍にしたことや、ここ約10年間の市民所得向上率が沖縄県平均を上回っていることなどを挙げている。

 市浜崎町の後援会事務所前には、黄緑のはちまきを巻いた支持者らが結集した。保守系の県選出国会議員や県内市長らが集まり、国政与党とのパイプをアピールした格好だ。保守中道の票を固めている。

 中山氏は高いワクチン接種率と新規陽性者数の抑え込みといった実績を強調しながら、3回目のワクチン接種を強化していくことで「コロナに強い街を作って観光客を取り戻し、経済を戻し、生活を戻す。困っている子どもたちの笑顔を取り戻す」と、コロナ前の活気を早期に取り戻すことを約束した。

 相手候補から「独善的」と言われていることに対しては「12年間仕事をする中で、特定の誰かや自分自身が利益を得るようなことは一切排除してきました。個人の利益を求める人は、私たちのもとを去っています」と述べた上で、集まった人々に対して「みんなが幸せになる石垣市を共に目指そうという大きな志を持ったみなさんです」と結集を呼びかけた。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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