共通テスト当日に新規感染最多「一発勝負の入試」改革の必要性

 

 ここで一つ注意を要するのが、追試当日に陽性や体調不良となってしまって受験できない場合です。残念ながら「追試の追試」は用意されていない場合が多く、その場合、結局受験機会は失われてしまうことになります。
(※上記は各大学の入試要項の情報等をもとに1月19日時点で整理した内容です。詳細は個別に出願大学へ直接確認してください。)

「一発勝負」のリスク

 入試の公平性を損なわないように留意しつつ、選抜方法を柔軟にするというのは実際には非常に難しいことです。短期間で新たな選考方法を安易に設けても、採点基準の確立や受験生への事前周知など十分な準備がなければ成立しません。コロナ禍、さらに言えば感染力の非常に強いオミクロン株の急拡大という例のない状況の中、文科省や各大学をはじめ各関係機関は最大限の努力を尽くしていると思います。

 しかし一方で、根本的に考えれば、そもそも大学入試があまりにも「一発勝負」に偏っているからこのような事態を招いていると見ることもできるのではないでしょうか。もしもこれまでに多様な受験機会が設定されてきたならば、今回のような感染拡大に陥っても幅広い対応が可能になるはずですが、全体的にこのような状況には程遠いと言わざるを得ません。

コロナ禍こそ脱「一発勝負」改革のチャンス

 高校段階の基礎学力を判定する「一次試験」として、全国一斉に実施すべき趣旨を考えれば、共通テストにおける受験機会の多様化はなかなか難しいかもしれません。しかし、だからこそ「二次試験」としての大学の個別試験には、知識重視の一発勝負から脱却した、多様で特色あるデザインが必要なのです。今回のような追試や別日程への振替にとどまらず、例えば、複数回あるいは複数種の試験から高得点を採用するような選抜システムや、複数種の小論文や面接を通して多面的に人物評価するような発展的な総合型選抜など、様々な可能性が積極的に検討される必要があります。

 文部科学省に置かれた有識者会議「大学入試のあり方に関する検討会議」が昨年7月にまとめた提言では、コロナ禍における受験機会の確保だけでなく、各大学の特色を踏まえた抜本的な創意工夫が求められると説きます。コロナ禍は予期せぬ外的要因ではあるものの、入試改革の必要性が広く理解されやすい環境が醸成されているとも言えると思います。各大学はこれをチャンスと捉え、積極的に入試改革にチャレンジしていくべきではないでしょうか。

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