新世代、世界のウチナーンチュ 8)アルゼンチンで本場の沖縄料理、赤嶺イヅミさん

 

 アルゼンチンに帰国し、もともと働いていた県人連合会の沖縄レストランに戻った。まず、学んだ本場の琉球宮廷料理を連合会の方々にも味わってほしいと考え、宮廷メニューを振る舞うイベントを企画した。本場の味付けや宮廷料理という沖縄でも珍しい料理に、皆さんとても喜んだという。

アルゼンチン県人会のレストランで出した沖縄料理

日本料理店の共同出店を目指して

 2020年、新しい取り組みに向けて本格的に動き始めた。偶然、留学中に沖縄で知り合ったアルゼンチンの日系人と共にブエノスアイレスで日本料理店のオープンにかかわる事になり、料理長として新しい道を歩き始める。日本料理店だが沖縄そば、ジューシー、ラフテーなどの沖縄料理もメニューに含めてアルゼンチン人に沖縄料理がどのくらい受け入れられるかも試したかったが、コロナ禍で人数制限の予約制になったり、デリバリー対応になったりと厳しい環境になり、料理長としてのポジションを断念することになる。具体的にはこれからだが、沖縄県人会連合会の沖縄レストランで働いていた方と、共同経営という形で日本料理店の出店を計画中だ。

 アルゼンチンで順調にステップアップしている赤嶺さんは、沖縄で友情を築き、現在もSNSでつながっている沖縄の友人たちや他国の県費留学生と沖縄での再会を誓い合っている。本年度開催予定で、世界各地の県系人らが参加するイベント「世界のウチナーンチュ大会」への参加を楽しみにしている。

アルゼンチン沖縄連合会で日本語を学ぶ子供たちと沖縄そば体験

「いつかは単独で自分の沖縄料理のお店を持ちたい」

 赤嶺さんはコロナ禍の厳しい中でも将来の夢を語ってくれた。「いつかは単独で自分の沖縄料理のお店を持ちたい。沖縄料理は特別だし、自身のルーツ、琉球宮廷料理を紹介したい気持ちも強い。今の時代だからこそ伝統を大切にしたい。ルーツを大切にしながら料理の道を極めていきたい」と話した。また、「留学生の時はビザの関係で沖縄で働くことができなかったので、機会があれば数か月でも実際に沖縄の沖縄料理店で働いてみたい。沖縄でしか習得できない本場の味をアルゼンチンの方々にも広く紹介していきたい」 

「今でもアルゼンチンでお母さんが作ってくれるゴーヤーやナーベーラを普通に食べている。沖縄の若い人たちも、ぜひ沖縄の伝統的なものを守ってほしい。興味を持ってほしい。料理だけではなく、琉球舞踊やエイサーなど、沖縄にはうちなーんちゅとして誇れる大事なものは多いのだから」と語ってくれた。

 赤嶺さんの熱い思いを聞くと、沖縄の伝統は沖縄よりも南米でより継承されているようにも感じることさえある。沖縄の若い人たちにもこの熱い思いを感じてほしいし、シンガポールに住むうちなーんちゅである私も大切にしなければいけないものだと感じている。

Print Friendly, PDF & Email
次ページ:
1

2


関連記事

おすすめ記事

  1.  サッカーJ3のFC琉球が、第2次金鍾成(キン・ジョンソン)監督体制下の初陣を白星で飾った…
  2. 今季から琉球ゴールデンキングスに加入したアレックス・カーク(左から2人目)やヴィック・ローら=16…
  3.  FC琉球の監督が、また代わった。  サッカーJ3で20チーム中18位に沈む琉球は1…
  4. 戦前に首里城正殿前に設置されていたバスケットボールゴールを再現した首里高校の生徒ら=8月27日、那…
  5.  8月12日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール市民交流室は熱気が渦巻いていた。ステー…
宮古毎日新聞

特集記事

  1. 再びFC琉球の指揮を執ることになり、トレーニング中に選手たちに指示を送る金鍾成監督=19日、東風平…
  2. ヴィック・ロー(中央)の入団会見で記念撮影に応じる琉球ゴールデンキングスの(左から)安永淳一GM、…
  3. 沖縄県庁  沖縄県は、地域の緊張を和らげようと、4月から「地域外交室」を設置し、照屋義実副知…
ページ上部へ戻る ページ下部へ移動 ホームへ戻る 前の記事へ 次の記事へ