オミクロン株、沖縄を守るのは「社会全体での柔軟な対応力」

 

 また、陽性者とともに濃厚接触者も激増することにより、医療、福祉、教育などの現場でエッセンシャルワーカーの深刻な人手不足が生じることも考えられます。PCR検査やワクチン接種を促進してきたこれまでの対策は引き続き重要ですが、想定される深刻な人手不足に対する対策については、国や県から特段のメッセージが出されないことは批判せざるを得ません。

対策を急ぐだけではいけない学びの現場

 人手不足対策のように先手を打つことが重要な対策もありますが、対策が行き過ぎてはいけない場合もあります。

 例えば、本番を直前に控えた大学入学共通テスト。予定通り実施すれば大人数が試験会場に集合することになりますが、昨年は対策を徹底しながら、クラスターなど目立った失敗もなく実施した実績があります。追試験日程が用意されているとはいえ、安易に日程を後ろ倒しにすることは、受験生に大きな負担を強いることになるため、慎重に判断すべきだと思います。大学入学共通テストに続く各大学の個別試験等も同様に、過度な判断で受験生に負担が強いられることがないよう願うばかりです。

 休校の判断も慎重に見極める必要があるでしょう。唯一2度の一斉休校を経験した沖縄の学校には、これまでの対応のノウハウがあるはずです。県や市町村が地域一斉の休校を安易に判断するのではなく、できるだけ分散登校としながら、休校の判断はできるだけ学校に任せ、休校となった学校へのサポートを自治体が機動的に行うなど、柔軟な対応が大切ではないでしょうか。

「必要な対策」を社会全体で見極める

 まん延防止等重点措置適用の正式決定を公表した1月7日の知事会見では、酒類の提供を一部認めるという県の方針や米軍の感染拡大に対する見解への質疑が集中していましたが、もっと大切なのは、社会の安定に必要な対策が過不足なく準備されているのかを質すことではないでしょうか。あるいは、そうした質疑がなくとも、国や県は、社会全体を俯瞰したもっと幅広いメッセージを出すべきです。また、保育園や幼小中を所管する市町村の対応方針にも注目する必要があります。限られた条件の中、沖縄の社会、沖縄の子供たちを守るための最適解を選びとっていくためには、社会全体で、国、県、市町村の対応を総合して見極めていくことが重要だと思うのです。緊急事態にある今、行政の柔軟な対応が期待されます。

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