「村職員の意識を変える」 伊平屋村の名嘉律夫村長に聞く(中)

 

移住者が定着するかどうか

――空港計画もありますね。

 「26年間止まったままです。国土交通省は造るよと言っているのに、一向に前に進まない。今後の空港整備について、県はいろいろ提言してきます。(伊是名と伊平屋を架橋化し)両村で定期便を飛ばそうという意識がないから、村で立案できていない。

 国はいろいろと動いています。伊江島と本部を橋で結ぶか海底トンネルを通す計画が出ています。伊江島の既存の滑走路を整備すれば、那覇と本部を鉄軌道でつなぐことは決まっているので、どんどん北部に人は来ます。そういうことも見据えた計画になっています。あとは職員の意識なんです」

――意識を変えるには“外圧”も必要では? 東日本大震災の頃、復興を手助けするのは『若者、ばか者、よそ者』と言われました。御村では本土から移り住んでいる人もいます。

 「島には刺激が少ないので、かれらの存在は島に刺激を与えてくれます。ただ離島であるが故、なかなかなじめない人もいるんです。コンビニがあるのが当たり前の人たちには不安なんでしょうね。昨日も島外から来た方が、保育所の採用試験を受けたんですが、定着するかどうかは未知数です」

――貴重な存在になるのでは?

 「ITに強い人もいます。国もデジタル・インフォメーション(DX)を推奨しているから、定住してもらうためにもそれを推進していきたい。それを取り入れないと取り残されてしまいます。デジタルデバイド(情報格差)を無くしたいので、島の若い人たちにはパソコンを駆使して自分で販路を開拓してもらいたいです」

――DXが図られればテレワークが促進されます。住宅環境を整えれば、島外から子育て世代を呼び込め、人口減少に歯止めがかかるのでは?

 「住環境を整えるのが今一番の課題です。村予算で新たに住宅を建てるのではなく、民間が建てたアパートを村が借り上げることも考えています。

 一方で、(保育士の)資格を持っている人が島内にいるんだけど、旦那さんが役場職員なんで採用できないんですよ」

(つづく)

***

プロフィル 名嘉律夫(なか・りつお)1961年11月14日生まれ。工学院大学専門学校卒。神奈川県の企業で土木施工管理に携わり、1996年Uターン。2002年に村議初当選し、5期目途中の7月に村長選出馬のため辞職した。

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