「村職員の意識を変える」 伊平屋村の名嘉律夫村長に聞く(中)
- 2021/12/20
- 政治
できない理由を真っ先に挙げるのではなく
――民間の立場からすれば、どれも当たり前に聞こえるんですが、それが難しい?
「沖縄の海岸に軽石が打ち寄せていますがこの間、こんなことがありました。軽石でフェリーが接岸できないというので、運天港の手前で前泊港に引き返すと当該課長が言うんです。あれだけ乗客と車両を乗せているものだから、引き返すわけにはいかない。名護の病院に行く人だって乗っています。次の日のことも考えないといけないじゃないですか。工事関係者が島に来られなくなると、工期の遅れにもつながる。
とりあえず1便でも運航させたかった。当該課長は『軽石でできない』と言うので、『運天港が駄目なら本部港がある。関係機関に連絡を取れ』と電話で指示しました。運航管理者なのに、電話一本でできることをやろうとせず、できない理由を真っ先に挙げる。
私は村長として運航する責任があるから、船長に聞いたら『いけます』と。総合事務局と伊江村の了解が得られたので、船長に『何があっても責任は俺が取るから、本部港に向かって』とゴーサインを出しました。
引き返したフェリーもある中、フェリーいへやは伊江島のフェリーの出航を待って、本部港に接岸できました。ただ船長らは昼食が遅れたので島への出港に間に合わせ、名護から弁当を買って行って『これで勘弁してくれ』と許しを請いました」
――現場感覚が生きた決断でしたね。危機管理のお手本にもなりそうです。台風などは不可抗力としても、例えば旅客機は関空が駄目なら伊丹にと代替空港を考えますよね。
「補助金をもらっているので、簡単に欠航はできない。運航管理の職員らには、乗客の命を預かり安全に運航するという意識を持って任に当たってほしいです」