2人続けて村長が不祥事で辞職 伊平屋村の名嘉律夫新村長に聞く(上)

 

――民間で政治家出身の名嘉村長誕生以前は、総務課長や経済課長、収入役など行政からがほとんどで、無投票が多かったようですが、その弊害は?

「出てますね。職員の意識自体、自分たちが公僕だというのとかけ離れているんですね。朝出勤するとみんなで集まって、消防署の前で喫煙している。しかも課長たちがその輪にいる。誰も注意しない。吸わない職員はデスクに座って仕事しているんですね。

 服務規程がありますよね。10時と3時にはちゃんと休憩時間があるので、時間と場所を決めて吸う。吸わない職員には配慮する。村長が職員と一緒になってやるものですから、(まじめな)職員たちがだらけてしまうんです」

――上がこうだからしょうがないと?

 「何も言わないから。村長が自分で態度を改めて行動しないと、職員たちも見ますよね。村長が何も言わないからいいんじゃないのと。そういう雰囲気がどんどん伝わってきます」

――初登庁された日の役場内の雰囲気は非常にピリピリしていたと聞いたんですが。

 「少し変わりましたね。まず挨拶ですね。私も8時には来ていて、村長室から外の様子が全部見えますからね。『あっ、村長が来ている』と。まだ少し意識の足りない職員もいますね。ぎりぎりで来る職員もいます。あえて口で言うよりも、自分が早く来れば職員も考え方を改めるのではないか。

 せめて10分前に来て余裕を持って仕事に臨む。来ていきなりでは仕事にならないので、せめて30分前には来て今日一日のスケジュールを組み立てる。そうすることで仕事に責任を持って取り組める。

 朝は清掃をするとかの心の余裕が必要で、村民からいつも見られているという意識が必要です」

――役場全体の閉塞感というのは、トップが代われば変わるという好例があります。福島県の矢祭町は、行政スリム化のために町長が清掃作業などを率先してやると、職員が続くようになり、職員だけでなく町民たちも、『職員にはちゃんと行政の仕事をしてもらうんだから、町民としてやれることは自分たちでやる』と変わっていった例があります。首長が範を垂れるのは本当に大事なんですね。

「見る部下たちは見ますからね。ちゃんとしなきゃいけないと。行動を見てもらうようなやり方ですね」

(つづく)

***

プロフィル 名嘉律夫(なか・りつお)1961年11月14日生まれ。工学院大学専門学校卒。神奈川県の企業で土木施工管理に携わり、1996年Uターン。2002年に村議初当選し、5期目途中の7月に村長選出馬のため辞職した。

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