沖縄でできたワインのパイン!完成の秘訣は「人口的な冬」

 

 亜熱帯作物のパイナップルを用いて、寒冷地で適した醸造酒を作るのは、少し前なら考えられなかった。冷却技術の進歩も手伝った。

「発酵の熱を抑えるのは、外気を冷やすだけでは間に合いません。製造の過程で果汁が通る管の周りから一気に冷やします。人口的な冬を作り出して、沖縄でもヨーロッパのような環境を与えてあげるんです

ゴールドに輝く、パイナップルの醸造酒

 筆者もパイナップルワインを飲んでみた。スパークリングである「SummerSnow」は、細かい気泡と共に、パイナップルの風味が抜けてくる。太陽の涙を意味する、「Lagrima Del Sol(ラグリマ・デル・ソル)」は栓を開けた瞬間から芳醇な匂いが広がる。

 どれも豊かに香るも甘ったるさは無い。後味爽やかで渋みが少なく、普段ワインを嗜まない人も楽しめそうだ。

 ワイナリーで作られたパイナップルワインは、名護パイナップルパーク・古宇利オーシャンタワー・那覇パイナップルハウスで販売されている。

「フランスはブドウでワインを、日本はお米で日本酒を作るように、伝統があって今も息づいているお酒は、その土地の作物で作られます。私たちはパイナップルのお酒の発祥の地として世界に発信していくという想いで作っています。地元のお酒として、亜熱帯の作物であるパイナップルの醸造酒は絶対にアリですよ!」

 何百年、何千年と続くであろう、新たな文化の第一歩目に私たちは立ち会っているのかもしれない。ブドウ酒が「ワイン」、リンゴ酒が「シードル」と名付けられたように、パイナップル酒も新たな名称を授けられる日が来るのか。

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