琉球大の涙と笑顔のラストゲーム 大学野球選手権南部九州ブロック決勝

 
9回攻撃前に円陣「先輩に回せ」

大敗なのにすがすがしいゲームセット

 しかしその思いが空回りしたのか、ショートゴロとセカンドゴロで2アウト。万事休す。打席に喜屋武祐真選手(3年)が入った。「繋ぐぞ!」。気持ちだけで打った白球はライト前に飛んだ。右腕を突き上げて1塁ベースを駆け抜けた。ネクストバッターボックスで見守った大塚選手の目には、既に涙が溢れていた。

 「みんなが繋いでくれた嬉しさと、これが最後なんだという寂しさと、いいメンバーと一緒にやってこられたなという感慨深さとが入り交じって、1球目は涙で見えませんでした」

 審判とキャッチャーは、少し時間を作ってくれた。気持ちを整え、思いっきり振った打球は遊撃強襲安打。そして田中生基選手(2年)の適時打でホームにも帰ってきた。

 終わってみれば7−12。双方合わせて35安打の乱打戦、琉大は大敗なのにすがすがしいゲームセットだった。

 試合後、森キャプテンも涙がとまらない。「打撃戦は予想していたが、思った以上に相手がすごくて、凌ぐのが精一杯だった。それでも準決勝で6点差をひっくり返したので、絶対(逆転)出来ると思っていた」。と悔しがった。

涙を流しながらインタビューを受ける森キャプテン

 9回の攻撃について聴くと「先輩の最後の試合。一人出れば打席が回るので絶対繋ごうっって。先輩ともっと一緒に野球やろうって・・」と言うと、再び大粒の涙がこぼれた。それでも次の目標を聴くと「ここまで南部九州の出場が目標だったけど、やっていける、できるという可能性も感じたので、来年こそ優勝する気持ちでやっていきたい。期待してください」と胸を張った。

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