新世代、世界のウチナーンチュ 7)ボリビア県系3世、NY在比嘉成美さん

 

 私も沖縄国際大学の時に英語も中国語もできなかったが、自分を変えたいと感じ大学の姉妹校であった台湾の東海大学に2週間短期留学した。英語も日本語もできる台湾の大学生に驚き恥ずかしい思いをし、それをバネに英語と国際経済の猛勉強を始めた経験がある。失敗や恥ずかしいく感じるかもしれない状況を恐れずウチナーの若い方々にはいろいろ挑戦してもらいたいと思う。

 カナダでは「ボリビア人なのにどうして日本語を話せるの?」とカナダ人に不思議がられ、世界中から英語を学びに来ている学生たちもボリビアという国の存在自体を知らない方が多く、「母国があまりにも世界で知られていないことにショックを受けた」。ウチナーの先人たちは移民計画で土地を得て、そのジャングルだった土地を様々な困難を克服しながら、正に本を一本一本切り開きボリビアに根を張り生きてきた。誇りにしている国があまりにも知られていない現実に直面した。そのため、沖縄滞在中もそうであったが、カナダでも機会があるたびにボリビアの紹介を精力的に行い、現状や文化などの情報発信をした。

憧れの著者に直接連絡、NYの不動産業へ

 ボリビアに戻って大学を卒業し、去年の5月に日本や世界中の航空会社CA就職面接を予定したが、コロナ禍でことごとくキャンセルとなる。ホテルや旅行業も日本をはじめ就職は難しかった。失意の中、他にしたいことがわからなかったが、自分の能力を試すため、まず先進国で暮らしたいと考えた。そこで業種を絞らずこれという会社に片っ端からアプローチを始める。

 以前、ニューヨークに住んでいる女性起業家の本を読んで憧れていたこともあり、彼女に連絡を取ってニューヨークの不動産の会社に就職が決まった。このコロナ禍、多くの若者が夢を断念せざるをえない状況である。素晴らしい行動力だと感服する。

 CAになりウチナーンチュを始め世界中の方々を接客することが夢であったが、今後はコロニア・オキナワと世界の架け橋になることを夢にしたいと語ってくれた。世界中の人々とコネクションを作り、出会った人たちに故郷ボリビアに来てもらいたい。そこでおもてなしをする。今後もコンファートゾーンから抜け出して、自分の足りない部分を鍛えていきたい。

 沖縄ではまだまだ海外移民の歴史や世界のウチナーンチュの情報発信が不十分と考える。沖縄のキーワードで世界につながれることは素晴らしい事、世界のウチナーンチュと出会うことにより、ウチナーンチュとしての誇りが持て、知識を得て語学も鍛えることができる。「今後も世界の若者ウチナーンチュネットワークを大切にし、皆と一緒に新しい沖縄を作り上げたい」と比嘉さんは考えている。


 取材の様子は遠山さんのYouTubeチャンネル「MyOkinawaStory 我的沖縄物語」からどうぞ。

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