世界的な脱炭素化に見る可能性 沖縄は環境教育先進地となれる

 
環境省

 全国には約5.6万を超える学校施設があるため、学校を省エネ化するだけでも相当の効果が期待できます。さらに、学校自身の省エネの取組自体を教材として子供たちの環境教育につなげるところに「エコスクール」の本質があります。例えば、エコスクールでは、太陽光発電や緑化システムなどの仕組みを知ることや効果を実感することができ、さらには電気の無駄遣いを減らすといった省エネ行動の動機づけにもつながるのです。

学校が秘めた大きな可能性

 カーボンニュートラルの議論では、技術革新や脱炭素ビジネスなどが取り沙汰されることが多いですが、個人の消費生活における行動変容も非常に重要な要素となります。衣食住や移動といったライフスタイルに起因する排出量は全体の約6割を占めるという分析もあり、一人ひとりの意識改革が最重要課題なのです。

 これを踏まえると、エコスクールの推進には大きな可能性が見えてきます。子供たちが毎日通う学校が緑に囲まれ、緑を守る技術に囲まれ、自分たちの住む環境を守るという意識が子供たちにとってもっと当たり前になっていく。省エネ技術だけでなく意識改革こそ重要な温暖化対策において、未来を担う子供たちへの環境教育こそ、中核的政策となるのではないでしょうか。そして、その拠点は学校以外にはあり得ないのではないでしょうか。

沖縄の学校こそ先進事例になれる!

 沖縄固有の大自然、「奇跡の森」やんばるや西表島などが今年7月、世界自然遺産に登録されることが決定しました。沖縄の自然環境の価値が世界に認められたことによって、この貴重な環境を守ろうという機運がぐんと高まっているまさに今こそ、沖縄は「エコスクール」推進の契機とすべきなのです。

 さらに、学校は、離島も含めて県内のあらゆる場所に存在しています。島しょ地域としてユニークで多様な森や海を誇る沖縄は、まさに環境教育の教材の宝庫なのです。

久米島・奥武島の橋からの景色(フリー写真素材サイト「ばんない堂」より)

 学校の外だけでなく、学校の中でも地域固有の動植物に触れられるような充実した体験活動が展開できれば、沖縄の学校として最大の強みとなるでしょう。さらには、自然を通じた食育や歴史・文化に至る学びにつなげていくことで、まさにこれからの教育に求められる、複合的(教科横断的)でアクティブな意義深い教育活動となるでしょう。沖縄こそ、温暖化という世界の難題を乗り越えられるポテンシャルを持った地域であると、信じてやみません。

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