知事、「判断時期の明示は困難」 辺野古変更申請で見解
- 2021/9/11
- 政治
玉城デニー知事は10日、県庁で定例会見を開き、名護市辺野古の公有水面埋立変更承認申請についての結論を発表する時期について、「現在、厳正に(申請を)審査している。しかるべき時期に判断することになると思うが、今の段階で時期を明示することは難しい」として、現段階で時期を明言することは困難との見解を示した。
名護市辺野古の大浦湾では、マヨネーズ並みともいわれる軟弱地盤の存在が判明している。防衛省は昨年4月、工事について設計変更を申請。地盤改良のため、杭を7万本余り打ち込む方針を示したが、設計変更には県知事の許可が必要となる。
県は申請を承認しないと予測されるが、これまで玉城知事は判断を下していない。10日の会見では、記者団から「標準処理期間は経過していると思うが、どのように考えるか」との質問も出された。
これに対して、玉城知事は「変更申請は、大規模な地盤改良工事の追加だけでなく、施工計画の大幅な見直しなど、変更箇所が多岐に渡っている。標準処理期間のことだけで、『不作為の違法』にはならないだろうと思う」と強調した。
行政事件訴訟法では、申請に対して相当の期間内に何らかの処分や裁決をすべきなのにもかかわらず実施しない場合、申請者は「不作為の違法確認の訴え」を提起できることになっている。知事の発言は、標準処理期間を過ぎただけでは違法にはならないとの認識を示すことで、国をけん制したものとみられる。
また、玉城知事は「コロナ禍の影響で、庁内でさまざまな対応を迅速に進めている。そのことも、全体的な審査について少しは影響しているのではないかと考えている」とも述べた。
県が辺野古での工事に反対を続ける一方で、日米両政府は4月に開催された首脳会談の共同声明で「インド太平洋地域及び世界の平和と繁栄に対する中国の行動の影響について意見交換するとともに、経済的なもの及び他の方法による威圧の行使を含む、ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動について懸念を共有した」と規定した。
玉城知事も10日の会見で「米軍の戦略はアジア太平洋地域を重視する方向にシフトするだろうと言われていることも承知している。第一列島線上にある沖縄の米軍基地が強化され、それによって基地負担の増大に懸念を持たざるを得ない」と述べた。
一方で、中国のミサイル能力の向上により在沖米軍基地がぜい弱化しているとの指摘があるとした上で、「集中した米軍基地の運用から、分散化された小規模なものに考え方が変わってきているとも言われている」と強調し、米軍基地の整理縮小を求めた。
また、「力による対立のエスカレーションは招くべきではない。国際強調や対話といった平和的友好的な互恵関係を構築していく努力を、それぞれの国に求めていきたい」とも述べた。
米中対立が深まる中、日米両政府は4月の共同声明でも「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策である、辺野古における普天間飛行場代替施設の建設」とした。英国が空母を東アジアに派遣するなど、国際情勢は緊張の度合いを増しつつある。
県は、これまで沖縄を「平和の緩衝地帯」にすることを目指すとしてきた。その実現に向け、県がどのような戦略を構築していくかも注目される。
(記事・写真 宮古毎日新聞)