日銀那覇支店「観光業に強い逆風」
- 2021/7/17
- 経済
日本銀行那覇支店(一上響支店長)はこのほど、7月の県内金融経済概況(主要指数は5月)を発表した。県内景況について、「厳しい状況にある中、引き続き強い下押し圧力がみられている」として、2カ月連続で判断を維持した。個別項目についても、前月の判断を継続した。一上支店長は「緊急事態宣言が延長され、観光業には稼ぎ時の夏に強い逆風が吹いている」と説明した。
県内主要ホテルの客室稼働率(6月)は、速報値で15.5%となり、前月の22.9%から7.4ポイント低下した。同支店では、「5月のゴールデンウイーク後、6月にかけて低水準が続いているとの声が聞こえている」とした。
同支店は、観光について「厳しい状況にある中、引き続き強い下押し圧力がみられている」として県景況全体と同じ判断とした。一上支店長は「緊急事態宣言の延長でホテルからはキャンセルが生じているとの声が聞かれる。沖縄の景気は、感染症の動行次第で上下する。引き続き、注視していく必要がある」と語った。
個人消費「厳しい状況続く」、公共投資「底堅く推移」
個人消費については「厳しい状況が続いている」との判断が継続した。巣ごもり需要などで百貨店・スーパー販売額(全店舗)が前年比8.9%増となったものの、外食関連では新型コロナウイルスの感染拡大前となる2年前と比べて大幅なマイナスが続いているという。
ただ、一上支店長は「コロナ慣れや、これまでの消費抑制で貯蓄が積み上がり、消費が増加しやすい要因もある。まだ沖縄では聞こえていないが、全国的にはワクチン接種を終えた高齢者による消費の盛り上がりの兆しもある。目先に個人消費が持ち直していく可能性も念頭に置いておく必要がある」と述べた。
公共投資は、公共工事保証請負額が前年比47.3%増となり、同支店では「底堅く推移している」とした。一方で、着工建築物床面積(非居住用)は、同48.3%減、新設住宅着工戸数も、同27.0%減だった。
一上支店長は、着工建築物床面積(非居住用)について「振れが大きな指標で、1~3月が非常に強い数字だったが、4月は少し弱くなり、5月はさらに弱くなった。5月単月だけ見て弱いと見る必要はないと思う。ただ、中身を見ると飲食、宿泊業が弱いということで、一部は実勢を反映している部分もある」と述べた。
銀行預金は増加続く
銀行関連では、実質預金が前年同月比8.9%増、貸出金は同4.1%増と、プラスの値が継続した。同支店では、預金の増加について「新型コロナ関連融資の実行による法人預金の積み上がり、個人預金の特別定額給付金の押し上げ効果や消費の抑制などで高い伸びが続いている」とした。
地元3行の貸出約定平均金利は、前月から0.011ポイント低下の1.374%だった。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)