有効求人倍率0.78倍 14カ月連続で全国最下位
- 2021/5/30
- 経済
沖縄労働局は28日、4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント上昇の0.78倍(全国平均1.09倍)で、14カ月連続して全国最下位だったと発表した。県内の完全失業率(原数値)は3.7%となり、前年同月から0.3ポイント上昇(悪化)した。
県庁で会見した福味恵局長は、沖縄の雇用情勢について「求人に対して求職の超過が続いており、厳しい状況にある。新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に注意する必要がある」と説明した。
有効求人倍率については、「0.7倍後半で、若干、上がり目で推移している。(ただ、)上昇傾向というより横ばい気味で、何とか持ちこたえている状況と見ている」と述べた。
4月の新規求人数(原数値)は、前年同月比12.7%(904人)増の8013人で、17カ月ぶりの増加となった。産業別では、生活関連サービス業・娯楽業が同115.9%(226人)増の421人、宿泊業・飲食サービス業が同65.1%(300人)増の761人、情報通信業が同33.6%(140人)増の557人となった。
一方、サービス業(他に分類されないもの)は同21.0%(171人)減の643人、卸売・小売業も同6.5%(54人)減の773人となっている。
生活関連サービス業・娯楽業について、同労働局は「前年同月比は大幅増だが、2年前からは微減になっている。旅行業など観光関連産業からの求人が増えているが、コロナ収束に期待したものが多く、緊急事態宣言などで慎重な動きとなってくるのではないか」と分析している。
また、宿泊業・飲食サービス業では「2年前からは大幅に減少している。ゴールデンウイークを当て込んだ求人が出て一時的に活況を呈したが、緊急事態制限の影響もあり今後は抑制的に推移するのではないか。厳しい状況が続くものと考えている」と指摘した。
サービス業(他に分類されないもの)については「労働者派遣業、建物サービス業、自動車整備業で減少が見られる。派遣業の減少は、派遣労働者に頼らなくても自前で人手が足りるということ。建物サービス業では客室清掃等の需要が少なく求人が減少している」としている。
緊急事態宣言、雇用に影響も
同日は、5月7~20日の2週間について、新型コロナウイルスに起因する解雇等の見込み数が県内で8人(正規労働者7人、非正規労働者1人)だったと発表された。同労働局では、「比較的大きな希望退職の事案などが、ひと段落したことで1桁になった」と説明した。
その上で、事業主に向けて「新型コロナで苦しいところだが、助成制度を活用して雇用の維持に努めほしい」と呼び掛けた。
今後の雇用状況について、福味局長は「5月の上旬は4月と変わらないと思うが、その後は感染が拡大して緊急事態宣言に移行しており、これまでより求人は厳しくなってくると思われる。時短営業や外出自粛などの影響から、さまざまな分野で需要が落ち込み、雇用に影響してくるのではないか」と見通した。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)