2カ月連続で景況判断引き下げ 日銀那覇支店
- 2021/3/5
- 経済
日本銀行那覇支店(一上響支店長)は5日、3月の県内金融経済概況(主要指標は今年1月)を発表した。同支店は、足もとの県内景況について、「下押し圧力が強まり、厳しい状況にある」との文言に変更した。県内景況の下方修正は2カ月連続。
今回の引き下げは、沖縄の主要産業である観光分野の業況が悪化したことを受けたもの。また、県独自の緊急事態宣言などで個人消費にも影響が見られた。一上支店長は、「GoToトラベルの一斉停止が昨年12月末にあり、今年1月には全国の都府県で緊急事態宣言があった。かなりマイナス方向の要因が多く出た」と述べた。
1月の県内主要ホテルの客室稼働率は、那覇市内が前月比21.0ポイント減の19.6%、リゾートホテルは同28.2ポイント減の15.1%と、大幅に低下した。同支店では、観光分野について、全体と同じく「厳しい状況にあるが、持ち直しの動きも一服している」から「感染症の再拡大を受けて下押し圧力が強まり、厳しい状況にある」に下方修正した。
観光分野は、2月もプロ野球キャンプが県独自の緊急事態宣言で無観客となったため、さらに悪化したとの声があがったほか、県内旅行支援策である「同居家族でStayHotel事業」が下支えになったとの意見もあったという。
同支店は、個人消費については「厳しい状況が続いている」との判断を据え置いた。ただ、前年同月から百貨店・スーパー販売額(全店舗)は1.4%、コンビニ(同)は2.4%、ドラッグストア(同)は9.3%、それぞれ減少した。一上支店長は「緊急事態宣言による時短や、感染症を回避するための自粛が影響したのではないか」と指摘した。外食でも、大幅な売り上げの減少が見られたという。
雇用・所得情勢でも、同支店は「ひと頃に比べて悪化している」との判断を維持した。有効求人倍率は前月比0.03ポイント増の0.77倍、完全失業率は同0.01ポイント減の3.88%。同支店は「失業率は、コロナ前の人出不足に比べれば悪化している。ただ、10年ほど前は7%前後の失業率が常態化していた。そうした水準からすれば、まだまだ低い状況」としている。
新型コロナの感染拡大を受け、同支店は昨年3月、県内景況を8年11カ月ぶりに引き下げた。今回の下方修正は6度目となる。今後について、一上支店長は、多くの地域で緊急事態宣言が解除されていることや、県内旅行支援策の実施などプラス要因と、首都圏の1都3県で国の緊急事態宣言が延長されるマイナス要因の双方があると指摘。その上で、「先行きの不確実性が極めて高い状況が続く」と強調した。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)