ライブはもう「良い意味で」元通りにはならない 那覇市「Output」

 

 「コロナを経てライブはこれまでのように元通りになるはずがないと思う。ただし、良い意味で。演者も観客も、ライブハウスという現場で共有する感覚について、今までよりもはるかに熱い思いや気持ちを抱くライブが増えていく」

 いつ終わるか分からないコロナ禍で、那覇市にあるライブハウス「Output」オーナーの濱里圭さんは希望と確信を持って語る。ライブハウスとしての営業に様々な制限がかかる中で映像配信などに取り組みつつも、あくまで五感で感じることのできる音楽の現場が「かけがえのないもの」という思いは揺るがない。

移転した矢先にコロナ直撃

 Outputは2012年に那覇市久米でオープンした。有名アーティストから注目のインディーズバンドまで、様々なジャンルで活躍する県内外の個性的な出演者のパフォーマンスを楽しめる場所だ。アイドルによるイベントも多いほか、音楽だけでなくお笑いやトークライブのイベントも企画してカルチャーを発信してきた。久米で7年間営業した後、ビルの老朽化で移転し、19年12月に現在の牧志で営業を再開した。

 新型コロナウイルスの感染拡大対策において「3密」を回避する観点からみると、ライブハウスは真っ先に“集団感染の可能性が高い場所”と判断される。
「そもそも非日常を演出できるという意味での3密がライブハウスの醍醐味みたいな所があるので、ダメージを受ける最たる場所の1つ。おそらく1番最初から1番最後まで影響は続くと思う」

コロナ禍、アフターコロナの「Output」の立ち位置について語る濱里圭さん

 昨年3月1日に初めてコロナでイベントがキャンセルとなり、移転開業した矢先にコロナに見舞われた。濱里さんは「ここまで長期化するとは全く考えてなかった」と振り返る。昨年4月の緊急事態宣言下ではまだ行政の支援はほぼ無い状況で、移転したてということもあって資金繰りが「1番厳しかった」。

 厳しい局面をどう切り抜けていこうかと思案している時、「今まずすることは店を畳むことじゃないか」と言われたこともあった。

次ページ:

1

2 3

関連記事

おすすめ記事

  1.  サッカーJ3のFC琉球が、第2次金鍾成(キン・ジョンソン)監督体制下の初陣を白星で飾った…
  2. 今季から琉球ゴールデンキングスに加入したアレックス・カーク(左から2人目)やヴィック・ローら=16…
  3.  FC琉球の監督が、また代わった。  サッカーJ3で20チーム中18位に沈む琉球は1…
  4. 戦前に首里城正殿前に設置されていたバスケットボールゴールを再現した首里高校の生徒ら=8月27日、那…
  5.  8月12日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール市民交流室は熱気が渦巻いていた。ステー…

特集記事

  1. 再びFC琉球の指揮を執ることになり、トレーニング中に選手たちに指示を送る金鍾成監督=19日、東風平…
  2. ヴィック・ロー(中央)の入団会見で記念撮影に応じる琉球ゴールデンキングスの(左から)安永淳一GM、…
  3. 沖縄県庁  沖縄県は、地域の緊張を和らげようと、4月から「地域外交室」を設置し、照屋義実副知…
ページ上部へ戻る ページ下部へ移動 ホームへ戻る 前の記事へ 次の記事へ