40㍍先に中国公船が 尖閣諸島でいま起きていること
- 2021/2/19
- 政治
中国政府は2018年から海警局を人民解放軍の最高指導機関である中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察部隊の管轄下に置いていたが、今年2月1日からはさらに海警局に武器の使用を認める海警法を施行した。
これを受け、海上保安庁の奥島高弘長官は同17日、尖閣諸島周辺の領海警備で武器を使用された場合の対応について、「国際法で許容される範囲で、法律の原則にのっとり、武器を使用することは排除されない」との認識を示した。
その8日前、外務省の幹部は「中国海警船が日本の領海に侵入した瞬間、『無害通航』ではない状況になる」と明言している。「無害通航」とは聞きなれない言葉だが、国際海洋法条約(第19条など)で認められた船舶の航行をめぐる権利のことだ。他国の領海に入っても、通り過ぎるだけであれば問題はないという認識だ。
尖閣諸島をめぐる日中間の対立はフェーズが1段階上がったようにも見えるが、海警局船による領海侵入は、今月に入ってもやむ気配を見せない。今年に入って接続水域に入域したのは2月17日現在で40日におよび、延べ148隻に上る。そのうち領海侵入したのは7日、延べ16隻に上る(海上保安庁「尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の動向と我が国の対処」)。
なお、同資料を集計すると、昨年の接続水域入域は年間で333日、延べ1161隻、領海侵入はそれぞれ29日、88隻となっている。5、6、7、10、11の5か月は毎日入域している。
海警局の船は領海侵入後、日本の漁船に接近し追尾(追い回し)行動を常態化させている。
今月15日、早朝に石垣登野城漁港を出港した八重山漁港所属の鶴丸は、尖閣諸島周辺に近づいた12時20分頃から追尾を受け始め、それは翌16日14時45分頃まで続いた。最短40㍍まで接近されるなど26時間にわたり追尾を受けた鶴丸に乗り込んだ仲間均氏が、大手メディアの取材攻勢の間隙を縫い17日夕方、本サイトの取材に応じた。石垣市議会議員でもある仲間氏は「尖閣諸島を守る会」の代表世話人を務める。
――26時間も追尾、監視されるのは、大変でしたね。
「先月もそうでしたが、今回も島の周辺に近づくと『待ってました』と言わんばかりに中国の船が追尾を開始し、最短で40㍍まで接近してきました。島周辺を離れるまでずっと監視下に置かれ、最後は追い出されました。『ここは一体どこなのか。自分たちはどこにいるのか。施政権は中国にあるんじゃないか』そう思ったほどです。近隣諸国と摩擦を起こさないために、日本政府がまともな抗議もしないので、主導権は中国側にあるようなものです」