景況判断維持も「足元でコロナ再拡大の影響」 日銀那覇支店

 

 日本銀行那覇支店(一上響支店長)は8日、1月の県内金融経済概況(主要指標は昨年11月分)を発表した。県内景況について「引き続き厳しい状況にあるが、持ち直しの動きが見られる」との判断を据え置く一方、新型コロナウイルス感染症の再拡大や「GoToトラベル」の一時停止の影響などを踏まえ「足もとでは、感染症の再拡大の影響が見られている」との文言を追加した。

 一上支店長は、県内経済について「観光依存度が高く、首都圏などの新型コロナの感染状況やGoToトラベルの開始や停止の影響を受け、振れが大きい状況となっている」との見解を示した。先行きについては「なかなか見通しが難しい。不確実性が高い」と強調した。

 景気判断を維持した理由としては、「10月に続いて、11月もGoToトラベルの押し上げで持ち直しているとの声が先月時点で聞かれていたが、これが統計でも確認された」と説明した。

 同支店によると、県内主要ホテルの客室稼働率は前月比7.2ポイント増の51.6%。内訳は、那覇市内ホテルが同8.6ポイント増の44.3%、リゾートホテルは同6.5ポイント増の55.8%で、いずれも2020年度で最も高い値を示している。

 ただ、一上支店長は「12月や年末年始は、首都圏などで新型コロナが一段と拡大し、GoToトラベルが一時停止となる中で、宿泊施設では予約のキャンセルが急増したとの声が多く聞かれている」とも述べ、今後については慎重な姿勢も示した。

 その上で、「首都圏における感染の再拡大と、(7日に1都3県で)再発令された緊急事態宣言の下で(新型コロナが)収束していくか、GoToトラベルなどの政策がどうなるのかが当面のポイントになる」と指摘した。

 一方、長い目で見て沖縄に投資していこうという投資家もいることや、回復局面を見据え、今は需要がなくても雇用は維持しようとする企業も多いと聞いているとし、「長期的な視点で成長できる期待があるところが沖縄経済の強みとなり、下支えに寄与していくのではないか」との認識を示した。

 同支店は、県内の個人消費については「厳しい状況が続いている」との判断を据え置いた。巣ごもり需要の影響などで百貨店・スーパー販売額(全店舗)で前年同月比0.8%増、コンビニ(全店舗)同1.1%増となる一方、「外食産業などは弱い状況が続いている」と指摘した上で「トータルで見れば厳しい状況」としている。
 雇用・所得情勢も「ひと頃に比べて悪化している」との判断を据え置いた。11月の有効求人倍率は0.79倍と1倍を割り込む状況が続いているほか、完全失業率も3.02%と前月より0.74ポイント改善したものの、3%台となっている。

(記事・写真 宮古毎日新聞)


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