元女子日本代表の久手堅さん、伊集さんがクリニック 沖縄バスケW杯まで1カ月

 
中学生にスキルを伝授する久手堅笑美さん(左)と伊集南さん=7月30日、宜野湾市の真志喜中学校体育館

 8月25日に沖縄などで開幕するFIBA男子バスケットボールワールドカップ(W杯)まで残り1カ月を切る中、沖縄県を主体に開催地の沖縄市や北谷町、宜野湾市などで構成する開催地支援協議会が県内の子どもたちとトップアスリートの交流事業「Meet the Dream」を実施している。

 7月30日には宜野湾市の真志喜中学校に元女子日本代表で沖縄出身の久手堅笑美さん、伊集南さんの2人を講師に迎え、同校男女バスケ部の44人を対象にクリニックを開いた。

ドリブルやシュートの極意学ぶ 体づくりも助言

ドリブルからシュートにいく選手

 「沖縄でサイズが大きくても、県外に出たら小さい。ワンステップシュートで相手のタイミングをずらすことはとても大事です」

 「バスケはフロアバランスが大事だから、パスをした後とかにしっかりまわりを見る。『やったら見る』『やったら見る』っていう習慣を付けて、視野を広くしよう」

 蒸し暑い体育館に久手堅さんと伊集さんの熱い助言が響いた。選手たちも真剣な表情で耳を傾け、ドリブル、パス、シュートの極意を学んだ。約2時間のクリニックが終了後、選手たちにはW杯開催を記念した帽子が贈られた。

 最後に設けられた質疑応答では、体づくりで意識することを聞かれた久手堅さんが「まだみんなは体が成長する時期なので、食事や睡眠は大事にしてください」と助言。学生時代は体の線の細さがコンプレックスだったが、その後に自身の体質に合った体づくりに取り組んだという伊集さんは「今の自分の体を認めて、まずはそれにしっかり向き合うことが大切」と語った。

「いいストーリー」キングス優勝、五輪女子銀メダル、W杯…

質疑応答で笑顔を見せる伊集さん(左)と久手堅さん

 W杯関連の事業でクリニックを行うのは2回目という久手堅さん。自らも中学生を対象にクラブチームを立ち上げて日々指導に取り組んでおり、「やっぱり沖縄は一人一人の能力が高く、伸びしろが多い。これからの沖縄バスケが非常に楽しみです」と笑顔を見せた。

 W杯については「琉球ゴールデンキングスが優勝して、東京五輪で女子日本代表が銀メダルを取り、さらにW杯もやる。本当にいいタイミングだと感じます」と沖縄のバスケ熱の向上に期待した。

鋭いドリブルを見せる選手

 女子バスケ日本リーグ(Wリーグ)で理事を務める伊集さんは「W杯を見て、『バスケをやりたい』と思う沖縄の子どもたちが増えた時に、男子はキングスとか目指すものをイメージしやすいです。ただ、女子も久手堅さんや私、現役の安間志織選手のようにトップクラスでプレーしてきた沖縄の選手がいることを知るきっかけになればいいなと思い、参加させてもらいました」と語った。

 自身は米プロバスケNBAに魅了されてバスケを始めたといい、W杯については「世界トップクラスの国、選手が沖縄に来ることはすごい意味があると思う。キングスからも渡邉飛勇選手が代表入りするかもしれませんし、いいストーリーができてる。みんなで一致団結して、バスケを盛り上げることにエネルギーを注いでいきたいです」と熱っぽく話した。

8月には篠山選手、元キングスの金城さんらも参加

最後に講師の2人と記念撮影する選手たち

 同事業は8月にも実施される。5、6の両日にはゆたか小学校(豊見城市)と嘉手納小学校で行われ、元琉球ゴールデンキングスの石崎巧さん、元女子日本代表の石川聴乃さん、Bリーグ川崎ブレイブサンダースでプレーする現役選手の篠山竜青さんが参加する。16日には読谷中学校に元キングス主将の金城茂之さん、今年日本人として史上3人目となるFIBA殿堂入りを果たした元女子日本代表の大神雄子さんが講師を務める。

 W杯への機運を盛り上げるため、開催地支援協議会はトップアスリートによるクリニックの他にも、沖縄の子どもたちが食を通じて来県する国の文化を学んだり、実際に海外の子どもたちと交流したりするなど様々な事業を展開している。


長嶺 真輝

投稿者記事一覧

ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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