JICA派遣教師 文化継承で沖縄とボリビアの架け橋に
- 2020/10/1
- 社会
毎年10月30日の「世界のウチナーンチュの日」まであと約1ヵ月に迫った。世界各地に約42万人いるとされる海外の県系人など、世界中のウチナーンチュが「ウチナーンチュであること」を誇りに思うと共に、これまで築いてきたつながりを継承、繁栄させようとの願いが込められている。県も「沖縄21世紀ビジョン基本計画」に言語や文化の継承を盛り込み、尽力している。
1954年に戦後沖縄の過剰人口や土地不足の解消を図ろうと、ボリビアの東部・サンタクルス市への入植によって拓かれた「コロニア・オキナワ」。すでに世代は4世、5世と続いていき、文化継承に加え、ウチナーグチや日本語の教育も課題に上がっている。
課題解決の一助として、国際協力機構(JICA)は県教育委員会と合意を結び、現職教員を現地校に派遣するプログラムを続ける。同プログラムによって2018年6月から約2年間、コロニア・オキナワの学校に派遣された山里将平さんに、現地での文化継承や参加の経緯などを聞いた。
今もなお残る言語と文化
琉球政府の移民政策により、コロニア・オキナワへの入植が始まったのが1954年。今では66年の歴史をもつ。教育機関は、「オキナワ第一日ボ学校」と「ヌエバ・エスペランサ日本語学校」の2校があり、午前中はスペイン語、午後は日本から派遣された現役の教師によって、日本語で授業が行われている。
1986年、沖縄県からコロニア・オキナワの学校に現役の教師を派遣する「派遣教師制度」が開始されたが、沖縄県教育委員会により廃止が決定され、2012年に終了した。歴代の派遣教師は、日本語の教育はもちろん、沖縄から三線を持ち込んだりエイサーを伝えたりしていた。そのため、地域の人からの信頼や期待も大きく、「教育」や「文化の伝承」における派遣教師の重要性を訴える住民の声により、2015年から現在の「現職教員特別参加制度」として再開された。