アンダカシーで沖縄の豚文化継承 感謝の歴史紡ぐ 豚は「私の全て」
- 2020/9/25
- 社会
沖縄の代表的な食文化「豚」。ソーキそば、煮付け、中身汁、ミミガーなどの代表的な豚料理の他に、豚の皮や背脂を使ったラードで揚げたおやつ・アンダカシーがある。
沖縄でアンダカシーを専門とするお店は片手に収まるほど数少なく珍しい。うち1店舗がうるま市川崎の「アンダカシー専門店龍華」だ。
龍華は國場真千代さん(57)が2013年に創業し、昔ながらの製法と味でアンダカシーを販売してきた。今年、娘の麻依子さん(33)が引き継ぎ、双子の妹・麻梨江さん(33)が営業を担当し、家業で営んでいる。
双子姉妹は「鳴き声以外全部食べられる」と豚について語り出すと止められない。「豚と聞けばどこへでも飛んで行く」と豚への愛はうるま市で有名だ。
なぜアンダカシーなのか、後世に伝えたい豚の話や活動など、麻依子さんと麻梨江さんに話を聞いた。その想いは、戦後の食糧難を救うべくハワイから沖縄へと送られてきた550頭の豚にまでさかのぼる。
そもそも、アンダカシーとは?
アンダカシーとは豚の皮や背脂をラードで揚げた沖縄の伝統のおやつ。うちなーぐちで油のカスを意味する。戦後の食糧難が続く沖縄で食べていたおやつで、豚の旨味が詰まったカリカリの食感で1度食べ始めると病み付きになる。
おじぃおばぁの家に持っていくと「これアンダカシーねー?よく食べたさー。なつかしいねー」といわれる「戦後の思い出のおやつ」として、若者層には「糖質ゼロのお菓子でタンパク質がたっぷり」だと健康食としても親しまれている。
なぜ、専門店を?
専門店の創業者である母は昔からアンダカシーが大好き。商店に買いに行くも時々しか売られていなく心寂しかった。ちょうど知り合いの精肉店に豚の脂が山ほど置かれているのを見つけ、破棄するということを知り、「商店で手に入らないなら自分で作ろう」ともったいない精神から自宅で作るようになった。
自宅で作ると家族では食べきれないほどの量になり、「近くのショッピングセンターに卸してみよう」と販売していくうちに、専門店創業に至った。
龍華のアンダカシーは、「昔ながらの味」を大切にし、プレーンと塩味の商品は、豚皮と食塩だけで添加物などの保存料を使用していない。そのままスナック感覚として食べられるように昔ながらの製法にこだわって作っている。