伝統菓子で地域の文化伝える 創業67年の外間製菓所
- 2020/10/1
- 社会
那覇市牧志公設市場で戦後三代にわたり創業当初から変わらぬ味で郷土菓子を作り続けている菓子店がある。今年、那覇市長賞を受賞した創業67年目の「外間製菓所」だ。
外間製菓所は、琉球王朝時代の祭事の際に王族や他国からの賓客が口にした高級菓子である琉球銘菓と呼ばれる伝統菓子だけでなく、旧盆などの年間行事でお供えする郷土菓子まで幅広く作っている。
「伝統菓子を通して、沖縄の祝いの文化や魅力を次世代に継承したい」
創業者の外間清功さん(87)の孫にあたる3代目の外間有里店主(28)が事業継承者としての思い、伝統菓子の魅力を語った。
三代目の事業承継者として
外間製菓所は、創業当初から機械量産品にこだわらない手作りで沖縄の伝統菓子や文化を継承し、創業者の清功さんは今も現役で菓子を作り続けている。有里さんの父、清主さんが2代目として承継し、有里さんは「元々家業を継ぐ気はなかった」と笑って言った。
家業を意識したのは県外に出た26歳の時。琉球大学を卒業し、東京に出て事業構想大学院大学で経営を学んでいた。県外の人に家業のことを話すと「面白い」、「ちんすこうと紅芋タルト以外にもあるんだ」と興味を持ってもらったのがはじまりだった。
「普段何気なくあったお菓子を、沖縄の昔ながらのモノとして残していきたい」
「沖縄への地域貢献を考えた時に、まずは自分の家業を盛り上げる。沖縄独自のものを新しい視点として磨きをかけていくことがこれから大事になってくる」
家業を継ぐことを決意し、事業承継に特化したプログラムを大学院で受けるなど承継者に必要な考え方や構想力を学んでいった。