伝統菓子で地域の文化伝える 創業67年の外間製菓所
- 2020/10/1
- 社会
那覇市長賞で広がった売り方の幅
有里さんが3代目として家業を承継して1年目。那覇市が2019年度に物産展事業として行った「那覇市長賞」にて、外間製菓所の「こんぺん」が食品部門の優秀賞を受賞した。公設市場にある郷土菓子店として初めての受賞である。
「昔ながらの伝統菓子を広く知っていただく工夫がされている」と城間幹子市長から高評価をもらい、パッケージも含めて特産品として認定してもらった。
「市場のお店は今までお菓子を販売する小売店だった。でも、地元の人でも伝統菓子を知らないお客様が増えていく中、これからは、お菓子の背景にある文化を伝え、体験してもらえるお店になっていきたい」
お土産として箱単位で購入をするお客さんが増えたことで客単価が上がり、受賞を期に関東圏での催事出店を果たすなど売り方の幅が広がった。
コロナに負けない商売
今年は新型コロナウイルスの影響を大きく受けた。一族がお墓の前でご馳走を囲み、祖先供養をする4月の清明祭(シーミー)とご先祖様が帰ってくる8月の旧盆は多くのお客さんがお供え菓子として外間製菓所を利用しているが、例年比でシーミー時期の売り上げは例年比約50%減、旧盆は約20%減。お供えする分だけ購入するなどお客さんの買う量が減った。
「公設市場近くのこの通りは、観光客も多い那覇の観光名所として知られる場所。人通りも今までの半分以下に減り、お店としてはお菓子の注文が減って大変な状況だった」と振り返った。
一方で、コロナ禍の対策として新たに取り組んだ通販の立ち上げが好調だ。4月からオープンし、沖縄から県外にいる親戚や息子に送りたいという人がいたりと反応が良い。
ライフスタイルの変化が著しい現代だが、外間製菓所は変わらぬ味わい、伝統を守りながら現代の暮らしに寄り添った新しい伝統菓子と伝統行事のスタイルを提案していく考えだ。
どんな時代となっても、郷土菓子にはその地域の文化が詰まっている。そこには歴史や風習など様々なものが背景としてある。外間製菓所は、行事ごとを大切にしている沖縄の人の思いを、お菓子を通してこれからも伝えていく。
<外間製菓所>
住所:沖縄県那覇市牧志3-1-1 市場本通り
時間: 9:00〜18:00
休日:日曜日・正月三が日
電話: 098-863-0252
https://www.hokamaseika.com/