沖縄県の照屋副知事、中国大使を表敬訪問
- 2023/3/31
- 国際
上京していた沖縄県の照屋義実副知事は30日、中国大使館に新任の呉江浩駐日大使を表敬訪問し、玉城デニー知事が訪中の意向を持っていることや、国際交流を推進するため新年度に「地域外交室」を県庁内に立ち上げることなどを説明した。会談は非公開で行われ、概要が報道陣に発表された。
会談で照屋副知事は、沖縄県と福建省が友好県省を締結していること、留学生の相互派遣やエイサーによる交流、海外事務所を通じた中国各地における観光客誘致、経済交流の推進を行っていることも紹介した。
呉大使は、県が観光や経済、文化など交流に取り組み、相互の友好感情を深めること、協力関係を深めていくことに期待を示したという。
また、「最近の地域の安定について不安視する見方は、中国としても懸念しており、対立ではなく平和的な解決がなされるべきと考えている」という趣旨の発言も行った。
県には高い戦略性が求められる
中国は昨年8月、米国のペロシ下院議長(当時)が台湾を訪問したことに激しく反発。台湾周辺で大規模な軍事演習を行い、日本の排他的経済水域(EEZ)にも中国軍が発射した5発の弾道ミサイルが落下した。一方、今年に入ってからは強硬な「戦狼外交」を見直す動きも見せている。
ただ、尖閣諸島周辺の領海には中国公船による領海侵入が続く。日本政府は昨年12月に安保関連3文書を改定し、初めて反撃能力の保持を明記した。また、防衛費をGDP(国内総生産)比で2%に増額する方針も打ち出している。岸田文雄首相は呉大使の前任者、孔鉉佑氏による離任あいさつの申し込みを受けなかった。
こうした中、県は地域外交室を設置し、地域交流などの推進を目指す。県議会は30日、「沖縄を再び戦場にしないよう日本政府に対し対話と外交による平和構築の積極的な取組を求める意見書」を賛成多数で可決した。
今回の副知事の訪問により、国益が交錯する国際政治の場に、県が自ら一歩を踏み出したとも言える。高い戦略性を示すことができなければ、東アジアの中央に位置する沖縄が国際政治の思惑に翻弄されることも考えられ、県には強い手腕が求められている。
(記事・写真 宮古毎日新聞)