沖縄、11月有効求人1.10倍 全国平均との差縮小続く
- 2022/12/30
- 経済
沖縄労働局の西川昌登局長は27日、県庁で会見し、2022年11月の県内有効求人倍率(就業地別・季節調整値)が前月比0.01ポイント改善して1.10倍となり、7月以降5カ月連続で1倍を超えたと発表した。全国でも有効求人倍率の改善傾向が続く中で、全国平均値との差が3月の0.37ポイントから11月は0.25ポイントに縮まるなど、マイナス幅の縮小が続いている。
有効求人倍率は、ハローワークで仕事を探す人1人当たり何件の求人があるかを示す数値で、雇用動向を示す重要指標の一つ。倍率が高いほど職を得やすい状況となる。
県内のハローワーク別の有効求人倍率(全数・原数値)は、那覇が1.06倍、沖縄が1.01倍、名護が1.34倍、宮古が2.42倍、八重山が2.12倍となり、5カ所すべてで1倍を超えた。
なお、宮古と八重山では、19年11月のコロナ禍前の宮古が2.26倍、八重山が2.10倍を、それぞれ上回る状況となった。
西川局長は先島地区の雇用情勢について「求人倍率が高ければ高いほど良いというわけではない。現場からの聞き取りでは、業界業種を問わず島内では人手不足の状況になっている」と説明。その上で、生産性を向上させることが重要だとして「正社員雇用を進め、しっかりと給与や処遇に反映させていくことも必要」との考えを示した。
正社員化の促進が課題
県内の正社員有効求人倍率(原数値)は前年比0.18ポイント改善して0.71倍となり、過去最高値の0.72倍を記録したコロナ禍前の19年10~12月の同水準まで回復しつつある。
西川局長は、正社員の有効求人倍率が改善していることについて「観光客が回復し、人手不足が強まる中で、県内でも求人条件の見直しの動きが加速し、正社員求人の増加傾向が続いてる」と分析した。
さらに、非正規雇用が多いといわれる県内の雇用情勢を踏まえて「単純にコロナ前に戻ったということではなく、足腰の強い県経済や県民所得向上につながるという意味で、正社員化を進めていくことが、来年以降の大きな課題になってくる」と指摘した。
主要産業別でみた新規求人数の伸び率は、他に分類されないサービス業(労働者派遣業や警備業など)の前年同月比64.7%増が最も高く、大手コンビニの弁当などを製造する工場を含む製造業の同62.6%増、コールセンターなどの情報通信業の同55.9%が上位となった。
11月の雇用情勢は「求人が求職を上回り改善しているが、新型コロナウイルス感染症や物価上昇が雇用に与える影響に注意する必要がある」との判断を維持した。
会見の最後に、西川局長は今年一年を振り返り「コロナ前に戻った状況」との認識を示した。また、23年を見据えては、新型コロナウイルスの感染状況と、資源価格や物価高などが県内企業にどのような影響を与えるかについては注視が必要とした上で「正社員化や、付加価値を高めていくということにチャレンジをしていく一年になっていくという意味で、ターニングポイントを迎えると思っている」と述べた。
(記事・写真 宮古毎日新聞)